故スティーブ・ジョブズが生涯を通じて師と仰いだ日本人僧侶がいた!?
「宿なし弘文」を読んで
ここのところ読書熱から遠ざかっていた。
もともと近眼で16歳からコンタクト、そして今は眼鏡。
さらに老眼にも1つ加わって長く字を書いたり読んだりすると目が疲れる今日この頃。
が、この本のことを知ってどうしても読みたくなり購入してほぼ一気読み!
まず最初に私が不思議に感じたのは、「世界的に有名なジョブスに多大な影響を与え続けた禅僧なのになぜ日本ではあまり知られていないのか?」だった。
が、読み進めていくうちにわかっていった。
乙川弘文とは
1938新潟生まれ。
生家は、曹洞宗の名門「定光寺」。駒澤大学、京都大学大学院、上山した永平寺では将来を嘱望される特別僧堂生。
曹洞宗から派遣されて渡米。その人格は純粋無垢、天真爛漫、浮世離れしていた。
他人をあるがままに受け入れ誰からも慕われたが、僧侶としての人間性に疑義を唱えるものもいた。
それは、元は曹洞宗の僧侶でありながら独自のスタイルで布教を続け3 回結婚し5人の子供がいた。
禅のお坊さんなのにアルコール依存症で、最後は池で溺れた5歳の娘を助けようとして64歳であっけなく溺死。
ジョブスの有名なスピーチのもとは禅から来ていた!?
スティーブ・ジョブズが「禅」の影響を受けていたのは知っていたが、2005年に母校スタンフォード大学の卒業式で行った有名なスピーチ、
【Stay Hungry. Stay Foolish.
ハングリーであれ、愚か者であれ】
という言葉は、そもそも禅の教えだった!
という事実を知り、スティーブ・ジョブズに多大な影響を与えていた人物に興味を持った。
活動場所を、アメリカ・ヨーロッパと転々としていた「風来坊」。
日本人としてはつかみどころのない弘文だが、とにかく人望があり
弘文の死の知らせにジョブスは号泣し、葬儀には多くの弟子が集まったという。
印象的なのが、ジョブスは1985年にアップルを追放され、新たにNeXTという会社を立ち上げた時期。NeXTでやることなすこと失敗し、どん底の状態にあったジョブスはこの時期、弘文を必死に追いかけ、禅の「核」のような部分にすがろうとしていた。
わがままな性格で知られるジョブスが、弘文に対しては「同居」まで提案実行していたというのには驚く。
アップル追放からNeXTでの失敗を経て再びアップルで復活するまでの約10年、ジョブスは「弘文と禅」を通じて必死に自分の内面を見つめ直そうとしていた。
ジョブスは、弘文を通じて禅から「我執をすっかり捨て自分を空っぽにすることで、物事や自分のありのままが見えてくる」を学ぶ。
「座禅で直感が花開く」というジョブスの言葉は、ジョブス自身を救い彼が生み出したアップルの製品に生きている。
ジョブスは、企業としての成功よりも、自分が生み出した革新的な製品で世界を変えたい、という気持ちの方が強かったのでは?
彼は、アーティストだったと思う。
即物的、物質的、お金、競争の世界が長く続いてきたが、もうそれだけでは立ち行かなくなっている今の世の中で、ひょっとしたら「禅の教え」を少しでも取り入れることでこれからの私たちが進む道に光が見出せるのかもしれない。
【本の中で心に残った弘文の言葉】
・座禅は、人類が忘れた能力です。私たちの生存が常に危機にさらされていた太古、人類の主な活動は座禅でした。
あらゆる危険な動物たちや毒のある植物、これらに囲まれた環境で自分の立ち位置を定めるために私たちの祖先は、自分の全器官や感覚を" 静"に保つ必要があったのです。
・(世の中で一番大事なことは?と尋ねると)→「この世にいることに敬意を抱くこと」と答えた。
・私達には、普段は気づかない心、潜在的に横たわる深く広い心があります。
ですが、知識や理解、形容範囲をすべて自分の尺度で築いている限り、盲目なまま
その心に出逢うことはできません。
・(若い頃僧侶になることを希望したジョブスに対して)→「僧侶になるより、起業家として生きるほうが自分の命を生かせる」と答えた。
〜〜〜補足〜〜〜
○アメリカで広まった禅
1893年、シカゴ万博覧会で日本代表の1人として鎌倉の円覚寺の管長だった釈宗演(しゃくそうえん)が出向き初めて禅をを紹介した。
そのスピーチをしたのが後に欧米人を魅了することとなった鈴木大拙。
○1960年、ヒッピーたちに禅ブーム
サンフランシスコの桑港寺(そうこうじ)で日系人のために仏事を行っていた鈴木俊隆
(すずきしゅんりゅう)の元に「座禅を指導して欲しい」という若者たちが次々に現れた。
その後サンフランシスコに禅センターを設立した。
この禅センターは、世界でも大きな禅道場となり出版した「禅マインド・ビギナーズ・マインド」は、1970年日本訳もされ禅の古典的バイブルとなっている。
⭐️座禅の初心者体験会に今度行ってみようかな?思っている😊
本のカバーを外してみたら、他の僧侶やシスターと談笑する良い笑顔の弘文が♪
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