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なぜ、星野リゾート社長は「危機」に強いのか!? 腹の据わった経営マインドを支えたある書簡

※経営者マインドは、経営者じゃなくても知っておくと良いかもしれません。(yahooニュース「Jcast  会社ウォッチ 」より)※


 年明け早々、新型コロナウイルスの感染者が急増し、1都3県に
2度目の緊急事態宣言が出されてしまいました。
今回は飲食関連の感染防止を重点的に狙った営業自粛の要請が
セットされ、飲食店はその規模の大小にかかわらず、再び軒並み大きな
ダメージを被ることとなりました。


「マイクロツーリズム」にみた経営ポリシーの徹底

飲食店と並んで、コロナ禍とそれに呼応した政府の策に翻弄されて
いる感が強いのが旅館・ホテル業です。
昨年(2020年)の第一波終息後にとられた観光業の回復支援策
GoToトラベルキャンペーンは思いのほか大きな効果があり、
旅館・ホテル業も定価ではなかなか手が出ない高級施設を中心に、
かなりな回復後押しとなっていたようでした。
しかし、この冬の感染再拡大の到来で、急遽のキャンペーン中止と
相成り、年末年始のかき入れ時を前に今度は予約キャンセルの山に。
回復基調にあったところに、いきなり冷や水を浴びせられた形となり、
テレビニュースで伝えられる経営者たちの意気消沈ぶりは目を覆うばかりとなっています。

そんな中で、メディアにも数多く登場し異彩を放っている経営者がいます。
星野リゾート社長の星野佳路氏です。
代々旅館業を営んできた実家の4代目経営者として、倒産の危機に
瀕していた家業を立て直し、1990年代にはそのノウハウを活かした
旅館再生事業をスタート。
バブル崩壊で瀕死の状態にあった全国の旅館やホテルの立て直しに
手腕を奮い、一躍経営者として注目を集めるようになりました。
その後は、海外も含め一貫して高水準のサービスを提供する高級
リゾート施設の運営で絶好調にありました。
好事魔多し。
そんな折に突然のコロナ禍で、ステイホームの徹底がアナウンスされ、
一気に売り上げが激減するという試練を迎えたわけです。
そのような時期にも、率先してメディアにも登場して驚くほど冷静な
話しぶりで氏は業績回復戦略を語っていました。
特に印象的だったのは、マイクロツーリズムなる新造語を使って
遠方への移動が制限される時期だからこそ、各施設の地元の人たちに
安価な利用価格で自分たちの施設を知ってもらおう、というキャンペーン
をはじめたことでした。
この策自体は星野リゾートの業績回復策とイコールではなく、
むしろポリシーの徹底。
その腹の座った経営マインドにはある意味驚かされました。


星野社長が何度も読み直した書簡「成功の秘訣」

もう一点、危機における経営マインドとして感心させられたのは、
コロナ禍で最も混乱の最中にあったであろう時期に、自社独自で
算出した月次の「倒産確率」を社内外に公表したことでした。
危機を自ら吐露するこの施策の目的を、星野社長自身が説明しています。
「現状のリスクをわかりやすく社員に説明し共有することで、倒産確率を
下げて生き残るための正しい理解を得、全社員の協力と努力を喚起
することが目的。
皆の努力の甲斐あって、6月に40.1%もあった倒産確率は8月には
18.3%にまで下がりました」

このような有事に動ぜず、企業理念を重視した施策の徹底や、あえて
危機的状況を包み隠さず社員と共有できると行動には、経営者として
異常なほど危機に強いという資質を持ち合わせている印象を強くさせられました。
このような経営者としての星野社長の資質の根源には何か拠り所がある
はずだと思い、ネット検索を駆使して、さまざまなインタビュー記事や
同社をとりあげた特集記事を読み漁り、ひとつの興味深い話に行き当たりました。
それは、氏の実家の星野家が明治のキリスト教思想家、※内村鑑三氏
縁があり、内村氏が事業家であった星野社長の祖父に自らしたため、
送ったという「成功の秘訣」なる書簡の存在です。
その書簡は10項目からなるごく短い書簡ですが、星野家では家訓に近い
扱いとして伝えられ、星野社長もさまざまな局面で読み直しては自らの
経営を見つめ直しているといいます。

「成功の秘訣」の内容は、以下のとおりです。

一、自己に頼るべし、他人に頼るべからず。
一、本を固うすべし、然らば事業は自ずから発展すべし。
一、急ぐべからず、自働車(原文ママ)の如きも成るべく徐行すべし。
一、成功本位の米国主義に倣ふべからず。誠実本位の日本主義に則るべし。
一、濫費は罪悪なりと知るべし。
一、能く天の命に聴いて行ふべし。自から己が運命を作らんと欲すべからず。
一、雇人は兄弟と思ふべし。客人は家族として扱ふべし。
一、誠実に由りて得たる信用は最大の財産なりと知るべし。
一、清潔、整頓、堅実を主とすべし。
一、人もし全世界を得るとも其霊魂を失はば何の益あらんや。
人生の目的は金銭を得るに非ず。品性を完成するにあり。

概要を簡潔に説明すれば、

『他人に頼るな、本業を大切にしろ、なるべく急ぐな、誠実本位でいけ、
浪費をするな、運は天に任せよ、社員は兄弟としてお客は家族として
扱え、誠実で得た信用は財産と思え、清潔・整頓・堅実を守れ、
人生の目的は金もうけではなく品性を完成させることである。』

との内容です。

星野氏がどのようなリスク局面にあろうとも動じずに、冷静な判断の下で
経営者としてのリーダーシップを発揮している根源はこの書簡の教え
あったのだと、非常に腹落ちよく納得を得た次第です。
いつまで続くともわからぬコロナ禍のこの情勢下で、経営者が弱気になれば
その段階で事業は終焉に向かってしまうかもしれません。
厳しい経営環境に動じない星野社長の拠り所である内村鑑三氏の
書簡は、この厳しい時期をも胸を張って乗り切る経営者のみなさんの
ヒントになるのではないでしょうか。(大関暁夫)


私の父方の祖父は、明治生まれの起業家でした。

1代で、自動車販売やハイヤー会社を作り
当時 静岡県沼津市に御用邸があった時、祖父の会社が
皇室の方々をハイヤーで送迎していたとか。

祖父は若くして丁稚奉公に出されて、辛すぎて飛び出し
苦労して事業を大きく育てました。

乗馬やテニスが趣味だったらしく熟年になってたまたまテニスを
しているのを見て、驚いたことがあります。

祖父にとって孫は、私を含め女の子ばかりだったせいか
仕事の話は、全く聞いたことがありませんでした。

でも、誰かの創ったルールの中で働くより
自らの発想で行動したい私は、時々
「私の中には祖父の血がながれているのかな?」、
などど思ったりしています。


【内村鑑三】
日本のキリスト教思想家・文学者・伝道者・聖職学者。
福音主義信仰と時事社会批判に基づく日本独自の
いわゆる無教会主義を唱えた。
「代表的日
本人」の著者でもある。


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