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詩)ある日の記憶 ~いわてのばあや~

書こうとすると
現れるものがある


1月3日に岩手でばあやに2年ぶりに会う
ばあやも わあわあと「げんきのげんちゃん!」と大騒ぎして
僕はふざけて みんなで飲んだ缶ビールを7本重ねてタワーを作って
「ほら これ ばあやがみんな飲んだ!」というと
「おら こんな飲んでねえ!」と本気で怒った
もう寝る!といいだし 姉があわててこちらへ目配せした
やりすぎたかな。
そう思っていたが。


そのあとしばらくしてから
岩手から電話があり
ばあやは 正月に僕らが来たことももう忘れていると話していた

そうだろうね そうだろうね
そうだねとおもいながら
あんなにはしゃいだり 怒ったりした時間は
もう ないんだなあ ばあやには
そう 一人でちょっとしんみりする

小さなこと
それは毎日起こり
残ることもあるが
ほとんどは消えていく
そんなある日を
記す

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