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ゆめのなかで

ゆめをみました

錆びたレールが 途中まで続いている

枕木の跡だけが残っている道を

歩きました

何も感じないで生きようねと

人形を抱えた少女と

話していました

その先には

広々とした海

の先

断崖絶壁

ストン

消える

黄色い花びらが

空に

舞いました

ゆめのなかで

ゆめをみました

机の中から

古い日記帳を取り出して

それから

手のひらに 針を刺して

つうつうつうと流れる

小さな血のあとを

ながめていました

誰かが笑っていました

ぼくも つられて笑っていました

つうつうつうと流れる血が

太ももから膝を伝って

赤い線になりました

ゆめのなかで

ゆめをみました

河を渡ろうとしていました

水のない 乾いた河を

ひとりで

渡ろうとしていました

そうすると

「その地図はまちがっています」

という 立て札が現れて

ゴウゴウと

水が流れていました

いろんなものたちが

あっという間に流されていきましたが

誰も気づかなかったでしょう

悲しみとかも

流れていってしまえばよかったのに

              引っ掛って 
             震えていました

2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します