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詩)通勤天国(学園天国を聞きながらお読みください)

へいへいへいへいへい。
その日も 見慣れた 
通勤の光景
いつもの列
後ろの方さ
いつものように
ドアが開く
後ろから突撃隊
進む女性
たった一つの空席に
ドカって滑り込んだ!
へいへいへいへいへい!
ぼくなんか 
いいですよ!
いいですから!
座りたいとか
ありますけど
そんなにでも
ありませんから!

へいへいへいへいへい!
次の駅
ぼくと若い新人くん
そのちょうど中間
その席が空いた
新人くん チラッとぼくを見
ドカっと座った!
へいへいへいへいへい!
どうぞ!
ぼくは音楽聴いてるし
ウイークエンドはグラミー賞
ノミネートならなかったし
アフターアワーズいい曲だし
へいへいへいへいへい!
新人くん
あっと言う間に
下を向いて
もう寝始めた!
慣れすぎだぜ
いいですよ
大人の余裕ですから!

さてその次の駅
ここを逃すともう
座れない!
座っている人間の
挙動観察が始まる!
寝てるやつはたぬき寝入りか
鞄をいじっているのは降りるのか
スマホ見てどう動くか!
わからないように
身体を寄せ
にじり寄せ
空いたその瞬間
その細い隙間を
睨む殺気だ!
ドカ!
負けた。

いいですよ
ぼくは
そこまで
座りたくありませんし

へいへいへいへいへいへい!
へいへいへいへいへいへい!
へい!
へい!
へい!
大人の男ですから!
 



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