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ワッカーモーシモシ ワッカーモーシモシ 
(水よ 目覚めて 水よ 目覚めて)

水には神がいる 山に神がいるように
水は海から山へ 戻っていく その流れに乗って
アキアジもマスも帰ってくる
水には神がいる 
だから黙って水を汲んではならない
水の神様が人間と同じように夜は眠っておられるときは
神様の監視が行き届かないので
汲んだ水にどんな毒が入ってくるかわからない 
だから夜は
ワッカーモーシモシ ワッカーモーシモシ 
水よ 目覚めて 水よ 目覚めて
そうやって 守られ いのちの水を授かる

水は永遠をつかさどる
いのちの最初から水はあり
水なしにいのちはない
水には神がいる 
ワッカーモーシモシ ワッカーモーシモシ 
水よ 目覚めて 水よ 目覚めて

あの福島の処理水という名の水
蓄積したフクイチのデブリの放射性核種
薄められてもなくならない
神でさえ監視の行き届かないところで
いのちの末端にどんな影響があるのか 誰もわからない

100年後
システムはもう浄化さえ出来なくなり
滅びてしまったフクイチの残骸を真緑の奇形植物が覆い
真っ赤な何本もの木がタンクを下から串差しにし
金色の陽が降り注ぎ 時間は止まるだろう

水には神がいる 山に神がいるように
だから夜は
ワッカーモーシモシ ワッカーモーシモシ 
水よ 目覚めて 水よ 目覚めて
水の神に のっそりと声をかけ
そうやって 守られ いのちの水を授かる
それが 自然と人間
それが 生
それが いのち


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