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詩)世界が屠殺場に(夢)?

ある宿泊施設に泊まっていて
狭い路地がある
長い長いテーブルに屋台の料理がずらりと並んでいて
宿泊客が食事をしている
私はその狭い路地へ縫うように入って
私の部屋を知りませんか?辿り着けないんですと聞いて歩く
嘘だろ?笑える
大丈夫?
食事中の笑い顔が私の目の前にいくつも交互に出てきて
出てきては引っ込み
新しいエレベーターの場所を教えてください
それに乗ったら帰れるんです

耳元でささやかれる
「そんなのないんだよ」

井嶋りゅうFBより後半要約

もしも繰り返し屠殺場へ連れて行かれる夢をみたら
それは夢のようで夢でなく明日シャワー室にいくことになる
そのシャワー室に行った人は誰も戻ってこない  そのシャワー室へ
着がえを持たされ行くことになった 夢の続きを見せられ続ける
看守は妙に親切で新しいパジャマを用意して渡してくれた

明日朝10時にチャイムが鳴ると この部屋の全員 女性15歳から50歳まで
一列になり真っ直ぐ歩いてシャワー室に向かう
ただ一人ミーシャだけは昨日この部屋を出た
ナチス親衛隊のお気に入り
人妻だがもうそんなことはここでは関係ない

雨がみたいと思った 真っ直ぐに歩かされながら
もう見ることはないとわかっている
雨の下で髪を梳かして濡れるままに
泣いてみたい そう思う
こうやって思ったことなど
誰もわからない永遠に 永遠に

シャワー室と書かれた扉には一輪の花が添えられ
ようこそ!と書いてあった
シャワー室に似つかわしくない重い扉を看守がノブを回し開く
扉が開くと幾つものシャワーが不気味にぶらさがり
それはまるで骸の花のよう

「服を脱げ」命令調で軍服を着た男が指示をだす
少しざわついていたが静かになり
それぞれが青と白のストライプの服を脱ぐ
それぞれがシャワーの下に立つとガシャリと扉は閉まった

シャワーからは無色透明のガスが放たれる
バタバタと もがく間もなく人は倒れていく
全ておわった
毒ガスは換気扇で排出される

裸体はひっかき棒でユダヤ人の手によって
ひきずりだされ ガタンと穴の下へ放りこまれる
まるで夕餉のあとの余興よろしく
毎日毎日虐殺が繰り返された

いまガザでは わずかな小麦粉を求めて身をかがめ そうっとやってきた子どもを
イスラエルの兵士がゲームの的のように撃つ
わずかな食料のために命を犠牲にする飢えた人々
殺すことを楽しんでいる イスラエル兵士
それはまるでガス室で夕餉のあとの余興よろしく楽しむあのナチス親衛隊

道はどこへも続かない としたら
同じ夢の続きを見せられ続けるとしたら
もしかしたらガス室の夢はいま
この時間に 世界を覆う準備をしている としたら?

2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します