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詩)昭和歌謡のうたに浸ってしまう一日 ああもう一度人生があったなら


女にとっていちばん惚れてはいけない男
そんな男になってみたかった
女のいうことを全部聞いて
明日のことなんか考えず
今日だけに生きる そんな男に

あなたの過去など 知りたくないの
済んでしまったことはしかたがないじゃないの
(知りたくないの)

でも、うまくはいかない
男はどうしても別の女と出会ってしまうのだ
酒場の隅で嘘と嘘の身の上話
生い立ちは隠せない
男はもうのめりこんで
その女しかみえない
なんてやつだ
一生懸命なあの娘をおいて

あれは八月暑い夜
すねて十九を越えた頃
細いナイフを光らせて
にくい男を待っていた
愛と云うのじやないけれど
私は捨てられ つらかった
(ざんげの値たちもない)


女は年上
男の良さはわかっているがそれは
今日だけの一時の愛欲
それが見えない男と女の垣根は
また別の愛いや愛の形さえない愛
そんな風に


あのひとから言われたのよ
午前五時に駅で待てと
知らない街へふたりで行って
一からやり直すため
(逃避行)

そんな風に裏切ってばかり。
悪いやつ
そんな人生

今日だけ生きる明日はない
そんな男
あゝもう一度人生があったら。

2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します