詩)横浜 石川町 地蔵坂から〜思考してみる
横浜・石川町駅から地蔵坂の坂道を上がる
450メートルの長い坂道は
右へ左へカーブして上がっていく
その坂を下からジョグで上がっていく
古風な制服の女学生が集団で
楽しそうに坂を降りてくる
彼女たち。
十年後。
二十年後。
三十年後。
四十年後。
この坂に戻ってきて
ああ この坂だけは変わらない と
思ったりするのだろうか。
そんなことを考えながら
坂を上がっていく
いや 急な勾配に負け
ペースは全く上がらず
その男から「しんねこ」って言葉を聞いた
男女がさし向かいで仲よくしていることらしい。
スナックでいつも口説かれてたんだよ
そういう男は
いま ひとりで
寿の簡易(ドヤ)で暮らしている
上がりきって
今度は降りるしかなく
やっぱりそうなんだと思いつつ
下っていく
自分の最期はどんな感じなんだろう
ふと思ったりする
「全ての花を切りとっても春は必ずくる」
ミャンマーの人たちを想う。
終点。
石川町の寿の簡易で
オレは
独りベッドの上で
もう走れなくなった
細い脚を
見ている。
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