ブランド戦略と商品価値について

市場原理では、生産量が少ないほど価格は上がり多いほど下がる。しかし、そこには一定の商品クオリティーが伴わなければならい。
そこで、商品クオリティーにさして差がない場合、生産量が少ないことへの優位性(希少価値)を如何に保ち得るのかについて考えてみたいと思う。

商品の一例として粉末生姜を挙げてみる。
この商品、既に類似商品が多数販売されており(コモディティー化)
他社商品との差別化を図ることは大変難しい。
農薬や化学肥料を使わない「有機生姜使用」の優位性もほぼない。なぜならベトナムや中国から安価な輸入品が多く販売されているからだ。

このような現状では、

1、価格
2、有効成分の含有量

上記2点で、明らかに他社商品より優れている必要がある。
これについて、「有効成分含有量×成分単価=商品価格」という方程式が成り立つので、有効成分の含有量が多ければ、販売価格が高くても、勝負する余地は十二分にある。

となると、問題は、有効成分含有が同じだった場合、反収の多少をどのように価格に反映させ得るのかについてだ。

1940年から60年にかけて行われた緑の革命以後は、化学肥料と農薬による生産増が維持されている。お陰で海洋汚染や大気汚染も増えており世界的な問題になっている。にも関わらず、相変わらず、生産増を図るために農薬や施肥量の半分が地下水に流れる化学肥料を使っている生姜産業と、それらを一切使わずに、自然と生物の多様性に重きを置いた持続可能な農業に努める生姜産業とが、両者の栽培過程で環境に与えるリスク評価が価格に反映されにくい国内市場で、商品にだけでなく、商品ができるまでの生産背景にお金を落としてくれるように仕向けていくのは、国の農薬規制がゆるく、同時に環境意識の低い日本では至難の技だ。

先ずは限られたお客様にリアリティーある商品を提供すると共に、相乗的にそれを実感してもらえるように、ミッションやビジョンを明文化してブランド力を高めていく必要がある。

生姜は古来から人々の健康に寄与してきた歴史がある。抗酸化作用による健康維持効果は絶大であり、健康と美容意識の高いユーザーに圧倒的な支持を得ている。しかし、その一方で多量の農薬や化学肥料が使われ、地球環境を汚染し続けていることはあまり知られていない。地球に生きる私たちにとって、本当の健康とは何か、本当の美とは何かについて、経済が停滞低迷している今、大きく立ち止まって見つめ直す時期にきているのではないだろうか。



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