映画「グリーンブック」ネタバレあり

　今日は家で「グリーンブック」という映画を見た。タイトルは前から知っていて、なんとなく面白そうだなと思っていた。普段映画をあまり見ないのだが、見てみたらすごく良い映画だった。映画って面白いんだなあと思った。

　舞台は1962年。黒人のピアニスト・ドンとイタリア系の運転手・トニーがニューヨークから南部に向けて旅をする。

　この映画はロードムービーである。自分はロードムービーが好きだということに気がついた。「俺たちに明日はない」も「テルマアンドルイーズ」も好きだ。この２作も「グリーンブック」もアメリカ大陸を車で旅する映画である。

　アメリカ南部で、ドンは黒人だというだけでものすごく酷い目に遭う。イタリア系の人たちも黒人差別をしている。当時の状況がよくわかる。

　ドンはクラシックの英才教育を受けた、高い評価を受けているピアニストで、博士号を持ち、教養のある人物である。お金持ちで豪華な部屋に住み、きちんとした格好をしている。上流階級の白人のお客を相手に演奏活動をしている。しかし表面上は彼を歓迎しているように見える白人たちは、同じトイレやレストランを彼に使わせない。
　彼は黒人が好むとされるフライドチキンは食べないし、黒人のポップスのミュージシャンのことも知らない。スーツを着て、運転手付きの車に乗る彼のことを、南部の農場の黒人たちはじっと見つめていた。黒人たちからも切り離された存在だ。

　黒人の世界にも白人の世界にも入れない。そして彼はゲイである。彼は「根無草」のような存在なのだと思った。

　ドンがゲイであることは作中で描かれる。トニーは特に拒否反応も示さず、普通に受け止める。

　トニーは最初は黒人差別をする人物として描かれている。ドンと旅をすることで少しずつ変わっていく。柄が悪く、教養がないが、優しくて器の大きい人なのだと思う。

　最後のトニーの家のクリスマスパーティーにドンがやってきて、受け入れられるところが良かった。

　そして一番最後にドンとトニーは実在の人物だったことが明かされる。フィクションだと思って見ていたので驚いた。二人はその後も一生仲の良い友人だったそうだ。