見出し画像

さらまわしネタ帳097 - 悪魔の呪文

オムニバス、コンピレーション、アンソロジー、サンプラー、意外と使い分けが難しい言葉です。先日お客様から「テーマが決まっていても「オムニバス」と言っている盤があって、あらためて悩んでます」と言われまして、こちらもあらためて考えることになりました。

オムニバスは乗り合いバスだから、2組以上のアーティストの音源が収録されていればいいわけで、意味する範囲が広いですよね。1950年代ジャズの7インチ盤は表と裏が別のアーティストが収録されているものが多くありますね。

アンソロジーは詩歌、詩撰集ですから、レコードなどで使う場合はテーマさえあればいいわけで、一人でやっていても該当します。書籍でいろいろな人気作家さんが同じテーマのもとに書いた短編集が「アンソロジー」と名乗っていることに、あらためて素敵だなと思っていたりします。

最近、CDでコンピレーションはフツーにありそうですが、アナログ盤でコンピレーションというのはあまり見かけません。単なる寄せ集め的な意味でしょうが、ここにサンプラーとの区別を持ち込むと、単なるコンピレーションというのは、ほとんど存在しないのかなと思います。オムニバスもアンソロジーもサンプラーもコンピレーションと言っている場合が多く、言葉の意味する範囲が最も広いのはコンピレーションですかね。

世の中にはベスト盤というものが大量に存在しまして、各アーティストのヒット曲をコンピレーションしているわけですが、これがアーティストのサンプラー的でもあり、ヒット曲や人気曲が多い場合、時期やテーマごとに集めて何種類も作れる場合もありますから、細分類も可能な世界です。ビートルズのベスト盤って何種類存在するんですかね?ウチにも相当数ありますけどね。

話がややこしくなるのが、別テイクが収録されていたりする場合です。昨日たまたまかけたフォーカスのベスト盤(ヘッダー写真)に収録されている「悪魔の呪文 Hocus Pocus」が別テイクだったので、気になってしまったんですけどね。如何せん「悪魔の呪文」はオリジナルとも言える音源が2~3種類ありまして、オランダ国内を含めヨーロッパで最初にリリースされた1971年ヴァージョンと、北米を含め世界中でヒットした1973年ヴァージョンがあります。

1972年にアメリカのテレビ番組(The Old Grey Whistle Test)に出演したときのインパクトがもの凄くて、この時の演奏が少しアップテンポだったもので、北米リリース盤は少し早いんです。そしてシングル用のエディット・ヴァ―ジョンも存在するわけで、まあいろいろあります。それがねぇ、ベスト盤の音源がまた別物なのではという気がするんですよね…。

そもそも、レインボウ・シアターでの超絶ライヴ盤に収録された演奏も有名なわけで、これを聴き比べると、タイス・ヴァン・レールのヨーデルが頭の中をグルグル駆け巡るような状態になってしまいます。でもどれも凄いクオリティで圧倒されます。

さて、このフォーカスのベスト盤、そもそも「悪魔の呪文」が別テイクだったらベスト盤ではなくなるような気もするんですけど…、そもそもウィキなどのディスコグラフィに掲載されていない盤なので、オフィシャルなのかどうかもよく分からないんですけど…、何だか別のカテゴリーが必要な寄せ集め盤という気がします。そういう意味では、私撰集みたいなものなんですかね?…いろいろあるなぁ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?