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7インチ盤専門店雑記616「オール・ザ・ベスト」

ポール・マッカートニーの「オール・ザ・ベスト」のアナログレコードです。1987年11月リリースですから、一応アナログレコードはレア盤ということになると思います。あまり見たおぼえがありません。米国盤と英日盤とで収録曲が大きく異なるため、注意が必要なベスト盤です。CDは1枚のため17曲まで減らしてありますが、このLPは20曲収録です。

1970年のソロ活動開始からウィングス時代を経てのベストですから、自分は世代的に思い切りハマっておりまして、大好きな盤でした。まあそれでも、ここからシングル・カットされた「ワンス・アポン・ア・ロング・アゴー」が必要だったかというと、ちょいと疑問ですけどね。

米国盤との収録曲の違いがやはり面白いです。「パイプス・オブ・ピース」「ワンス・アポン・ア・ロング・アゴ―」「恋することのもどかしさ Maybe I'm Amazed」「ウィ・オール・スタンド・トゥゲザー」「夢の旅人 Mull Of Kintyre」が入ってなくて、「ジュニアズ・ファーム」と「アンクル・アルバート~ハルセイ提督」が収録されております。まあ、「夢の旅人」のように、米国では全くヒットしなかったバグパイプの音が入っているような曲が収録されていないというあたり、やっていることが当たり前過ぎて笑えます。個人的な趣味で申しますと、「恋することのもどかしさ Maybe I'm Amazed」は彼のTop3に入れるような曲なので、入っていないということが信じられません。

そして「オール・ザ・ベスト」からシングル・カットされた「ワンス・アポン・ア・ロング・アゴー」の7インチ・シングルですが、国内盤は存在するのでしょうか?見たことはありません。英国盤はあります。

「ワンス・アポン・ア・ロング・アゴー」のB面は「Back On My Feet」、McManusとの共作となっております。Declan Patrick Aloysius McManus、エルヴィス・コステロですね。お蔵入りしたアルバム用の曲にちょいと手を入れてリリースしたということですが、コステロは演奏でもヴォーカルでも参加しておりません。「フラワーズ・イン・ザ・ダート」のボーナス・トラックとしてアルバムに収録されたことはありますが、一応レア・トラックと言っていいでしょう。

もう一つのアルバム未収録曲は「We All Stand Together」でして、アニメーション用の曲です。まあマッカートニーらしい曲ではあります。嫌いではありません。この辺の事情を考えると、米国盤の方がスマートかもという考えも出てきませんかね?

繰り返しになりますが、個人的な好みを申しますと、「恋することのもどかしさ」と「夢の旅人」が収録されていないので論外は論外なのですが、米国盤も英日盤も、いずれも真のベストとは言い難い選曲なんですよね。ただこの時期のアナログ・プレスですから、音質的な面でどう楽しむかという部分が残されています。曲数が多くても溝が細いというほどでもありませんし、マスターが劣化していてオリジナル・リリース時より劣るということもありません。音質は良好とだけ申し上げておきます。

この辺の動画に関しては、以前から何度かご紹介しておりますが、結局こういった側面も含めてポール・マッカートニーが好きか否かなんでしょう…。

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