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7インチ盤専門店雑記471「リトル・ドリーマー」

フリートウッド・マックの創設時はピーター・グリーンズ・フリートウッド・マックと称しておりました。これはメイン・ギタリスト、ピーター・グリーンのサード・アルバムですが、70年代後半の活動再開後のセカンドです。…微妙な書き方ですが、ドラッグ禍でフリートウッド・マックでの活動がままならず、1970年にフリートウッド・マックを脱退し、一枚だけ「The End Of The Game」というアルバムを作っておりますが、思い切りやっつけ仕事であまり評判はよくありません。ドラッグによる統合失調症で70年代の大半を棒に振り、1979年に復活するわけです。復活第1作が「虚空のギター In The Skies」、翌1980年にリリースされたのが「夢幻のギター Little Dreamer」です。この時期に6枚ほどアルバムを作りますが、その後は1990年代のスプリンター・グループでの再復活までまた長く沈黙します。この時期の6枚は評価は割れますが、個人的にはまあまあ好きで時々聴きます。

何だかピーター・グリーンというと、初期フリートウッド・マックで結構アグレッシヴなギターを弾いていたイメージを持っておりまして、この盤を初めて聴いたとき、「随分オッサン臭くなったなあ」と思ったものでした。でもよくよく考えてみれば、「ブラック・マジック・ウーマン」だって結構オッサン臭い曲ですよね。サンタナ・ヴァージョンは特にそうではないでしょうか。フリートウッド・マックのオリジナル・ヴァージョンは恐ろしくいい音で鳴る盤でして、オーディオ的には特A級と位置付けております。イントロの突き刺さるギターが印象的です。

アルバムのクレジットを見ますと、…少々残念な気分にさせられます。タイトル・チューンはピーター・グリーンの曲、「Born Under A Bad Sign」のカヴァーも入っておりますから、これはブッカー・T・ジョーンズの曲ですね。そしてそれ以外は全部M.D.Green作となっておりまして、ピーター・グリーンの兄弟だということですが、この人物についてはよく分かりません。全然情報が出てきません。Wikiもリンクがありません。実際のところ、この時点でも復活できてなかったのを、無理やりやらせたのかなと思ってしまい、悲しくなってしまいます。

実はこの前のアルバム「虚空のギター」は全部ピーター・グリーンの作曲ということになっておりまして、ただこの盤はスノウイー・ホワイトとキャメルのピーター・バーデンスが全面的にバックアップしているということがあちこちに書かれております。この2枚、同じ様な時期に録音した音源だと思いますが、諸々違います。…どうもこの辺の情報は鵜呑みにはできません。

ついでに申しますと、ヘッダー写真はUS盤ですが、国内盤とジャケット写真が全くの別物でして、どちらもさほど面白いものではありません。ちなみに国内盤は ↓ こんな酷い代物です。

国内盤の画像、…ウェブで検索してお借りしました

何と申しましょうか、ご本人の意思が感じられないというか、周囲の金儲けしたい連中に担ぎ出されたのかなぁ…などと悪い方向にしか考えられなくなってしまいます。シングル・カットされた「Loser Two Times」とか、やはりオッサン臭い曲ですけど、嫌いじゃないのでなんか残念なんですよね。

ついでに申しますが、この盤のレーベルですが、私の手元にある盤は両サイドともSide Twoになっております。写真の面には5曲収録されているのにレーベルは4曲ですから、実はSide Oneの間違われたサイドと判ります。…私は何故かこういうミステイク盤によく当たるんですけど…、聴いている盤が多いというだけですかね?何かついてますかね…。

フリートウッド・マックの天才ブルース・ギタリストと言われた頃を知らなければ問題ありませんけどね…。あまり他人様にはオススメしておりません。

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