見出し画像

7インチ盤専門店雑記359「B面の愉悦15:まだまだあるぞ、面白いB面」

ここで書いた内容を、「B面の名曲特集」のイベントの紙資料にしようと企んでおりまして、今回は準備段階から書きまくっております。そろそろ、文字数が相当量に達するので、終わりにするかと思いますが、…でも、まだまだ面白いB面の盤がありまして、いろいろなパターンを紹介する意味で、もう少しだけ…。

A面曲のライヴ・ヴァージョンをB面に収録するというケースも時々あります。まっさらの新曲なのにライヴをレコードにプレスして残したい音源があるのかと考えると、結構不思議なものでもあります。もうライヴでやり慣れていて、ファンの間では人気曲などというのはありそうですね。A面曲のライヴではなくて、少し前にヒットした曲のライヴ・テイクを収録するのはよくあるケースです。…売り易いですからね。でも、同曲なんですよ…。

ブライアン・アダムスの「ヘヴン」(ヘッダー写真)は忘れられないライヴ・テイクです。結構こなれている印象がありますから、ライヴではもうずいぶんやっている曲だったのでしょう。この頃のブライアン・アダムスは絶頂期を目指して、猛烈に勢いのある時期でしたから、代表曲とも言える「ヘヴン」をこういったかたちでリリースするのにはいいタイミングでしたね。

B面がインストというのもありますが、要はカラオケですよね。歌いたくなる曲ならいいんですけど、「ゴーストバスターズ」のインストはいらんでしょ。警察の要請でスリーヴを手直ししたらしいですけど、B面も手直しすべきだったような気がします。

アース・ウィンド&ファイアーの大名曲「アフター・ザ・ラヴ・イズ・ゴーン」、「スター」のB面ですが、「両面大ヒット」と謳い、全米大ヒット曲をB面にってずいぶん贅沢なことをしましたね、ソニーさん。これは名曲ですね~。

次に、A面とB面を入れ替えてリリースする場合、これはB面に名曲が入っていたという典型的なパターンですね。昨日のジョン・レノンの「ビー・バップ・ア・ルーラ」は英米でB面だった曲を日本盤でA面に持ってきた例ですが、日本盤で入れ替えるパターンもあります。理由はいろいろあるでしょうが、例えばアラン・パーソンズ・プロジェクトの「ルシファー」は元々「沈黙 Damned If I Do」のB面でしたが、ホンダ・アコードのイメージ・ソングに抜擢され、A面B面を入れ替えて再度リリースされました。

松田聖子「Sweet Memories」のように、B面曲がCMに使われて人気になっても、スリーヴを差し替えてA面B面はそのままというパターンの方が多いように思いますから、よほど評判にならないと、A面B面の入れ替えはないのでは、という気もします。

まあ、「B面の名曲」と言ったときに、一定の年齢以上の方はこれがピンときたかもしれませんね。デラニー&ボニー&フレンズ・フィーチャリング・エリック・クラプトンの「カミン・ホーム」のB面「グルーピー」です。別名「スーパースター」、カーペンターズのカヴァーも大ヒットしましたし、マッド・ドッグス・アンド・イングリッシュメンでのリタ・クーリッジの名唱も有名な人気曲です。オリジナルはB面曲で、シングル・リリース時にはアルバムに収録されていなかった曲です。

本来なら「B面の名曲特集」というイベントのタイトルからすれば、こういった曲を集めてご紹介すべきなんでしょうが、拘って探したところで、3時間のイベントを持たせるだけの内容になるとは思えませんので、B面に関して語ることがある面白い曲を特集するという方向性にならざるを得ません。

今回はB面に拘るわけですが、全然知らないアーティストのB面曲がいくらよくても、参加者の皆さんを満足させられるものではありません。「ふーん」で終わってしまいますよね。だから一応有名アーティスト、ビッグネームを中心にB面の面白いものにあたってみました。そんな中で、「アレのB面はなんだったっけ?」と気になってしまったのが、サイモンとガーファンクルの「マイ・リトル・タウン」でした。

解散後6年の月日を経て、両方がそれなりにヒット曲も出たあとで、久々に一緒にやった曲です。かなり話題になりました。再結成かとも言われましたが、早々に否定されたわけですが、一緒にやったのはこれ一曲のみ、ニュー・アルバムはなし、それぞれのソロ・アルバムに同じ音源を収録するという、こじれた人間関係を象徴するようなことをしてくれました。

そのB面は何だっけという話ですが、そうでした、そうでした。こじれた人間関係を象徴どころか強調するようなことをしたのでした。B面はそれぞれの短めの曲を二つ入れてあったのでした。曲順に関しては大ヒットを連発したポール・サイモンが譲ったかたちなんでしょう。…よく、これで一曲だけ一緒にやろうと思いましたよね。後のセントラル・パーク・コンサートも結構出来がよかったので、そこはさすがプロということなんですかね…。

B面特集、実は結構奥が深いんです。A面ではないけれど、そのスペースを埋めるために、いろいろな理由から選ばれた曲です。拘るアーティストは拘りますし、アルバム未収録のレア曲だったり、貴重な音源もあります。7インチ盤専門店店主にとっては、気になるものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?