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7インチ盤専門店雑記493「Swing Fever」

恐らく最後であろう来日公演が話題になっているロッド・スチュワートですが、今月ニュー・アルバムもリリースされております。一応新盤の情報が発表され次第予約を入れるアーティストの一人です。今回はノラ・ジョーンズと同日(発表当初は1週間違い)でしたから、少しお安く入手できました。…いろいろ手段がありましてね…。しかも今回は大好きなジュールズ・ホランドとのコラボです。有名な鉄道模型趣味のお二人ですな。これは買わないという選択肢はありません。

お年を召されましたな…

ニュー・アルバムはタイトル通りスウィング・ジャズ集です。最近は昔のロック・ヴォーカリストの面影もなく、全ジャンル制覇予定かと言いたくなるロッドですが、やはり歌が上手いので安心して聴けます。こういう平気でジャンル跨ぎをするアーティストに抵抗がないのは、自分の何でも屋的な嗜好が好影響なのでしょう。人によっては、最近のロッド・スチュワートはダメと言われるので、TPOを選ぶことになるのですが、カフェで流す分には全く問題ありません。しかもかなり好きな内容です。

この盤、何が好きかと言うと、まずは音質です。アナログ好きの自分は、最近のハイファイ過ぎる録音があまり好きではないので、こういう音質で演出してみせる録音物が結構好きなんです。高音は一定のところでカットしているんですかね?低音もウッドベースの音が生きるようにフォーカスされています。どうも録音した空間があまり広くないようで、無駄な残響がない分、昔のビッグ・バンド・ジャズの鳴りを模した音とも違うのですが、間近でフル・オーケストラが演奏しているような、あり得ないような音だったりしますけどね。妙に入り込めます。オケの中にいるような、面白い感覚になります。

如何せんジュールズ・ホランドがピアノを弾いていますから、かなり突っ込んだ前のめりのノリが笑えます。シナトラ的にはしたくなかったというロッド・スチュワートの狙い通りかとは思います。曲に関しては、古いジャズのスタンダード集ですが、「センチメンタル・ジャーニー」や「テネシー・ワルツ」といった曲も含まれており、アレンジの妙を楽しめるのもこういったアルバムの面白さです。

レイターの司会の様子などを観ていて、このジュールズ・ホランドという人物が好きか嫌いかはハッキリ分かれそうですが、私は大好きです。実はスクイーズ時代だけがあまり好きではないということもありますが、その後の毎度豪華過ぎるゲスト陣を誇るリズム・アンド・ブルース・オーケストラのアルバムは可能な限り集めております。古い音楽に対する造詣の深さもさることながら、ピアノのテクニックも相当ですし、もっと高く評価されるべき人間だとは思います。レイターに出演したアーティストは実力を見せつけられるからか、ミュージシャンズ・ミュージシャン的に音楽をやる人間からはやたらと評価されるのも面白いです。YouTubeにいろいろな動画が載っておりますが、そういうのを芋蔓式に眺めているだけでも楽しいですし、実力のほどが知れます。特にドクター・ジョンとやったBoogie Woogie Twinsの連弾が好きです。凄いです。


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