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7インチ盤専門店雑記268「リー・モーガンの音色」

いやはや、リー・モーガン、いいですね、やっぱり。毎度、毎度、元気をもらえる気がしております。自分の聴き方がこれまで演奏スタイルとか曲が何でテーマの表現がどうのといった部分に偏っていたのかもしれません。あまり音色に拘って聴いたことがないかもと思って、そういう意識で2度目、聴いてしまいました。やはり彼は天才でしょうね。この「Vol.3」だって録音時点でまだ10代ですから。19歳のトランぺッターがこれだけ表現力豊かな演奏を聴かせているわけですよ。ホント、いい音色なんですよ。

冒頭「ハッサンズ・ドリーム」でフルートを吹いているのはアルト・サックスでのみクレジットされているジジ・グライスなんだそうですが、そのあたりの音色でいきなりブルーノートの1500番台の中でも個性的に感じてしまいます。ついでに言うと、ドラムスがチャーリー・パーシップなんだということで、何だか端正なリズムなんですよね。ガレスピーあたりのバックで叩いているイメージの人ですからハードバップというより、ビバップの時代の人というイメージです。その辺でリー・モーガンのテクニカルなトランペットを際立たせているようにも感じます。

まあ、今日はお客様も少なく、リー・モーガンを昼から思い切り流していたわけですが、やはり普段と違う雰囲気になります。何なんですかねぇ…、やっぱりジャズはアナログで聴かなくちゃという意識がムクムク湧き上がっているんですけど、多くはCDで買ってしまった自分にとっては、ちょっとしたお楽しみ程度です。

オビの「ブルーノートLP最後の復刻」という文字、「ウェストレックス~」という、オーディオマニアに訴求する文言、売り方…、アナログ復権は一朝一夕に成し得たものではない気がしてきます。レコード・ストア・デイ(RSD)とかが影響したとか言ってますけど、「そうかなぁ?」としか思えません。ずっとアナログで聴いている人間にとっては、RSDなんてにわかファンに占拠されたりして、鬱陶しいだけという話も耳にします。レコード会社側の地道な努力もあっての話だと思いますよ。「何度買わせるんだ」ということを声高におっしゃる方もいらっしゃいますが、嫌なら買わなきゃいいだけのはなし、愛着があればその時代の主要メディアで聴き比べでもしてみればいいのに…。

まあ、今日の私は、アナログレコードの音、HDDプレイヤーの音、YouTubeの音、いろいろ聴き比べております。これはこれで楽しい作業なんです。リー・モーガンの音色、案外ウチのスピーカーと相性がよろしいようです。


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