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7インチ盤専門店雑記618「The Flame」

自分の好きな曲はどうしてもアナログレコードで聴きたいものでして、時期的に難しい頃の曲であっても、一応探し続けていたりします。1990年代以降の音源はある程度諦めもつくのですが、1988年、89年頃の音源は「輸入盤ならあるかも」程度の気持ちでおります。この時期は録音もよく、大抵は素晴らしい鳴りを聴かせてくれますから、なおさら気になってしまうんです。最近は新たに仕入れることも減ってしまいましたが、コロナ禍が始まった頃は、結構嬉しい収穫がありました。

チープトリックの「The Flame」もそんな一曲です。彼らにとって、唯一の全米No.1ヒットですが、それよりベストヒットUSAのOA時に流れていたブリヂストンのCMに使われた曲ですから有名曲ですね。自分もあのCMが忘れられないだけなのかも知れませんが、30年以上の時が流れても、あの深いエコーがかかったアコギの音に包まれる時の幸福感はサイコーです。

この曲に関しては、以前にも書いております。その時は、この曲の作者が気になって書いた記事でして、視点がかなり違っております。

どうしてもアナログレコードで聴きたい曲ですが、やはりLPがまず手に入るわけです。7インチ盤よりは流通量も多いのでしょう。ジャケットに少しシワやスレがあるものの、盤はきれいなもので、これは嬉しかったですねぇ。でも意外にあっさりした音質で、CDで聴いたときと印象が大きく変わるものではありません。エコーによる空間的な広がりを楽しむという音ではありません。

次に手に入ったのが、 ↑ このシェイプド・ディスクです。形状から仕方ないのですが、7インチ盤よりは少し大きいものです。1990年秋の来日記念で売られたものなのか、詳細は分かりませんが、武道館と横浜文化体育館のライヴ・インフォが刷り込んである帯的な紙切れが袋の中に収められておりました。もちろん音も出ます。材質のせいか、少し硬い鳴りといった印象です。

B面は「Through The Night」、アルバム未収録曲です。…後のボックス・セットには入ってますけどね…。一応レア音源です。

そしてコロナ禍が始まり、なかなか終わりが見えない中、オークションで落とせたのがヘッダー写真の7インチ盤です。レーベルは片面に両面の情報が載せてある、いかにも80sなデザインのドーナツ盤です。B面は同じく「Through The Night」となっております。

初めて聴いたとき、「コレコレ」と独り言が出てしまいましたよ。30数年、アタマの中で鳴っていたあの深いエコーがかかったアコギのイントロです。イメージ通りの音で鳴ってくれました。残念ながら盤の状態はまあまあといったところですが、輸入盤によくある、曲が始まれば気にならなくなるというヤツです。やはり、この時期のアナログレコードはいい音で鳴ります。技術的なものもあるでしょう。国内盤も輸入原盤仕様が増えてますし、条件的には文句なしです。…むしろ、この時期のレコードでいい音で鳴らないものはまずいです。

新しい物好きな人々には理解し難いものでしょうし、失われゆくものの美しさに魅せられたわけでもありませんが、築き上げてきたものが予想外に大きかった技術の粋が力を発揮しているわけですよ。輝いてしまうわけですよ。

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