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清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : 現役感と脳の活性化

もう6月が終わりますね。2024年も半分終わってしまうんですけど、実感がないですね。今年の正月は地震でビックリというしっかりした記憶があるので、あれからもう半年ということが、これまでより分かり易いんですけどね。最近時間の流れが早くていけません。この調子だと70歳80歳も直ぐだなという感覚とともに、そんなに生きられるという保証はないとしたら、やはり終活にもっと身を入れて取り組まないとという気持ちが湧いてきます。…ただでさえ循環器系基礎疾患持ち、ノンビリしていられるわけがありません。

自分が長年聴き馴染んできたミュージシャンたちを見ていると、現役感がある人とそうでない人にハッキリ分けられます。当然1時間を超えるようなライヴをこなすとなれば、カラダも鍛えているでしょう。一方で早々に引退してしまったミュージシャンの近況を伝えるニュースなどで、老け込んだ姿を目にするとやはり悲しくなります。

ジェフ・ベックなんかは最後の最後まで現役感がバリバリにある人でしたから、亡くなったときのショックも大きかったですけど、それなりの年齢だったことを考えると、「凄いなぁ」となってしまいます。あれだけ指が動くだけでも凄いことだと思いますけど、そういうことができるということは脳もしっかり若さを維持していたのだろうと思うわけですよ。とにかく、この人はおしゃべりではありませんが、クルマ関連の番組に出演しているときに妙に饒舌だったことが忘れられません。好きなことの話題だと饒舌になるなんて当たり前なんですけど、記憶もしっかりしていれば、理論的に語る姿は啞然としてしまうほどでした。

ウチのお店でお客さんと会話を楽しむ機会は多いのですが、特にウチはレコード屋でもあって、音楽目当てでいらっしゃる方が多いわけです。そういう方と昔の音楽について語ると、好きな曲だったのに曲名が思い出せないという方が多くて、「よく憶えているねぇ」と驚かれることがあります。自分は音楽のトークイベントを主催しておりますから、好きな音楽について語る機会は人一倍多く、こと音楽に関しては普通以上に語ります。曲名やアーティスト名が出てこないとお話しにならない日常ですから、当然勉強もしています。

ここしばらくは「サブカル近現代史」などと言って、音楽と歴史を紐づけ、どの時代にどういった音楽が流れていたかということを強く意識したトークなどをやっているもので、記憶の整理にも随分役立っています。狭心症で倒れた2011年以降の数年間の記憶は結構あやしいのですが、その一方で1970年代の記憶は、調べ物もしながら、資料を作りながら、これでもかというレベルで整理しております。昔のことの方がよく憶えているという歪んだ脳の状態がいいことか悪いことかはわかりませんが、それでも以前よりは脳の活性化に役立っているという確信があります。言葉が出なくなったとか記憶が曖昧になってきたと思う方は、この作業はおススメですよ。現役感があるとも言われますが、実は復活したに近い状況です。私は2012〜13年頃、失語症かと思うほど言葉が出なくなっておりました。倒れた時に脳が少し酸欠状態にでもなりましたかね…。

音楽に限らず、自分の好きなことの歴史を調べ、自分の経歴と重ねるという実にシンプルな作業ですが、意外なほど記憶が蘇ります。古い動画も時代感覚を持ちながら観ると意外に思い出すことが多く、我ながらビックリします。その当時、自分がどんな服を着ていたかを思い出すのも、かなり脳の記憶野を刺激します。埋もれていた記憶が溢れ出てきて、興奮状態のようになることもありますから、時間に余裕があるときにやった方がよろしいかとは思いますけどね。自分は趣味性の強いお店をやっていることで、記憶野の蘇生に関しては日常の活動になっておりますから、こちらも前職を退職した頃に比べると随分違ってきました。…余談ですが、生まれる前の古い映像などは、当然ながらあまり効果は得られないようです。

今の時代、YouTubeという強い味方がありますから、自分の趣味関連やちょっとでも気になることがあれば、YouTubeで検索すると意外なほど欲しい情報が得られます。Googleでも検索しますが、文字情報より動画の方が直接的な刺激も強いようです。しかも関連動画が出てきますから、記憶の糸を辿るのに非常に役立つんです。ここしばらくは、1990年代前半の町中をうろつく動画をよく観ます。駅の改札が有人だったり、高層ビルが少ない広い空が現在との違いを強く意識させてくれます。インターネットもスマホもない時代、待ち合わせだって一苦労でした。

そんなことを考えながら眺めているだけでも脳が活性化されるなら、効果的ですし安上がりです。ちょいと後ろ向きな作業かと思いながらやっておりましたが、現在の自分の立ち位置を見据え、少し先に間違いなくおとずれる自分の人生の最終局面に備えることは、案外前向きな作業だなという方向に意識が変わりました。残された時間を有効活用するという意味でもオススメです。


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