7インチ盤専門店雑記761「デリンジャー」
子どもの頃夢中になって聴いたという印象があるリック・デリンジャーですが、高校に入ってバンド小僧になってからは密かな楽しみになってしまいました。当時は英国ロック中心でアメリカンなロックをやるバンドもいませんでしたし、話題にしても煙たがられたような記憶しかありません。
リック・デリンジャーに関しては、リアルタイムではデリンジャーというバンドになっておりましたが、バンド仲間からは良いとは言われませんでしたねぇ…。1976年頃ですから、エアロスミスやレッド・ツェッペリンあたりで盛り上がっていた時期です。でも、デリンジャー、大好きでした。日本では特にヒットはしませんでしたが、シングル曲「Sailor」が大好きでした。「Let Me In」とかもノリがよくて好きでしたねぇ…。どちらも76年のファースト・アルバム「デリンジャー革命 Derringer」収録曲です。翌年直ぐにライヴ盤を出すあたり、ライヴに自信があったんでしょうね。この辺の曲は、ライヴ盤でもあまりアレンジを変えずにやっておりますが、やっぱりいいんですよねぇ…。
このバンド、メンツも結構面白いんです。ドラムスはカーマイン・アピスの弟さんのヴィニー・アピスです。ブラック・サバスやディオでプレイしておりましたね。リック・デリンジャーは後々デリンジャー・ボガート&アピスでアルバムをリリースしたりしますから、兄弟揃って人脈的に繋がっているのでしょう。まあ、この辺からも如何にギターが上手いかは知れると思います。
ベースはケニー・アーロンソンですねぇ…。ヘイガー・ショーン・アーロンソン・シュリーヴのあのアーロンソン君です。ジョーン・ジェット、ビリー・アイドル、ビリー・スクワイアなど、いろいろなロッカーのバックアップをした人です。リーゼントなので、ロックンロール専門に思われますが、どちらかというとハードロック的な音の人です。
サイド・ギターのダニー・ジョンソンはロッド・スチュワート、アリス・クーパー、アルカトラズあたりのバックアップという経歴らしいですが、あまりよく知らない人です。
この4人で実にフツーのギター・ロックをやっておりました。でも長続きしなさそうでもありましたねぇ…。結果的にホンの2〜3年という短命のバンドになってしまいました。77年「悪魔と拳銃 Sweet Evil」、78年「ロマンティック・シューター If I Weren't So Romantic, I'd Shoot You」とアルバムはリリースされましたが評判にもならず、…というか、ロクにプロモーションもしてもらえなかったような気もしております。
まあ作り急いだ感はあります。楽曲のクオリティもファーストほどではない気がします。でも、時期が時期ですから、世の中パンク/ニューウェーヴ一色ですから、さもなければディスコっぽい踊れるものですから…。安心して聴けるフツーのギター・ロックが好きな身としては、頑張って欲しかったんです。Styxとか、デトロイトのRocketsとか、Derringerとか、好きだったんですよねぇ…。
結局ライヴでもウィンター兄弟とやっていた時代のヒット曲なんかもやっていたので、パワー・バランスが悪そうですねぇ…。でも「ロックンロール・フーチー・クー」とか、やっぱりいいですねぇ…。
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