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7インチ盤専門店雑記574「Sexy Girl」

グレン・フライの「セクシー・ガール」ですが、80年代の彼は非イーグルス的な音にご執心でした。もちろんイーグルス的な音は好きなのですが、この時期のソロはもっと好きだったりします。ジャック・テンプチンとソングライティング・コンビを組んでいた時期で、グレン・フライよりも彼の色が濃いかもしれません。ちょいとレトロなテイストがいい味付けになっております。

さて、ヘッダー写真の「セクシー・ガール」の7インチ・シングル、ご覧の通り見本盤です。状態も悪くありません。…キレイにとっておいたんですかね。もちろんと言いたくなりますが、いい音で鳴ります。レトロ・テイストのイメージを覆す高音質と言うとヘンですが、あまりに音がよすぎて、レトロ感が薄い気がします。…やはりおかしなことになっております。

音的にレトロというと、やはりレンジが狭い音質なのでしょうか。時期的にはロックンロール・リヴァイヴァル期の少し後、80年代は意外なほどレトロ・テイストな音源が溢れておりました。…ハニードリッパーズ然り、ビル・ワイマン然り…。ツートーンの連中の音も、レンジが広いというものでもありませんでした。…ネオロカビリーの連中、ストレイ・キャッツとかは低音がブリブリ入っていて、微妙に古くない音でしたねぇ。それでも全般的に80sのキラキラしたイメージとは裏腹に、案外古臭い音質のものが多かったような気がします。

でも自分で書いておきながら、「本当にそうか?」と疑問を呈する自分もおります。何故なら、グレン・フライのヴォーカルもロバート・プラントのヴォーカルも、気持ち低音を絞っているとは思うんですけど、音源全体では、しっかり80sの音がしてませんかねぇ?ベースとか結構タイトでしっかり低音が出てますね。ギターはグレッチかなぁ?リッケンかなぁ?ギブソンやフェンダーにはない、キラキラした高音成分が含まれていますよね…。ドラムスも皮じゃないですね、パリパリのポリエステルフィルムですね…。「True Love」と記憶が入り混じっているんですかね?あの曲は同時期ですが、明らかにレトロ・テイストを持ってますからね。

それから、個人的な見解ですが、この時期、ギターのカッティングがやたらと目立つ曲が増えます。ドナルド・フェイゲンの「ザ・ナイトフライ」やスティーリー・ダンの後期、つまり「エイジャ」や「ガウチョ」あたりの音、それからバジー・フェイトンの諸作、ラーセン・フェイトン・バンドやリッキー・リー・ジョーンズあたりの音がそれなりにインパクトがあったのではと思うんです。あの手のフレーズが一気に増えた気がします。フュージョン・ブームの影響というと、何か違うものを感じてしまうんです。渡辺香津美や高中正義ならまだしも、デヴィッド・サンボーンやスパイロジャイラもあればシャカタクもあって、そういう音ではない連中も多かったですからね。

ついついいい音で鳴るということに意識を持って行かれましたが、ジャック・テンプチン流ちょぴっとレトロ・ポップ、やっぱり好きですね。

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