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清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : 働くということ

今年も就職して直ぐに辞めてしまう新人さんの話題があちこちに載っておりますね。もう終身雇用なんて昔話なんでしょうし、仕事も働き方も多様化してしまい、ジジイの感覚では追いつかない話題です。

自分の場合は新卒で地方公務員になって29年ほど勤めて早期退職し、今の会社経営、カフェ・オーナーというセカンド・ステージを楽しんでおりますが、自分の場合も公務員は直ぐに辞めるつもりでした。あまりの給料の安さと、仕事の中身が面白くないのとで、達成感のない日々でしたから。「30歳過ぎると急にラクになる」と言われる賃金上昇カーブのせいもあったかもしれませんが、まあモチベーションは低かったですし、自己実現とか、パーソナル・ブランディングなどといったこととは縁遠いものでしたから当然でしょう。それでも「役者と役所は三日やったら辞められない」と誰かが申しておりましたように、直ぐに辞めてしまう人間は少ない業種かもしれません。

私が就職したのは1985年4月、新卒とはいえ、既に25歳でしたから、普通とは違う感覚でしょう。新卒の枠では一般的な民間企業には就職できませんでしたからね。…就活というものをやっておりません。公務員試験の勉強は一夜漬けでした。…笑い話にもなりませんが、試験では面接官と喧嘩みたいになって論破しきってやりましたけどね。…よく合格しましたね。バブルがはじけた後は優秀な人材が公務員になだれ込みましたが、それより前は…こんなものでした。

とにかく、働く目的は人さまざま、私の頃は福祉分野で他人様のお役に立ちたいという崇高な考えの同期もおりましたし、土木や建築の技術職はみなさんやりたいことがあって就職するわけで、目的がハッキリしている世界でした。「ただの事務屋で年齢行っちまってるから役人になった」…って、働く目的から考えるとサイテーですね。

一方で自己実現という意味では、趣味に邁進している人間も多かったですね。スポーツはそういう意味でやたらと強いわけですよ。人格的にはそちらが主で、その目的のために公務も頑張るというわけですね。身近にもおりました。仕事はもの凄く真面目にコツコツこなします。人間性も抜群にいいです。…ただ5時過ぎにはさっさといなくなってしまいます。

残業が当たり前になっている方がおかしいと言えばおかしいのですが、私は部署によっては(システム関連とかです)毎月160時間超の残業も当然というスタンスでこなしておりました。しかも議会の承認を経た予算の上限もあります。超過勤務手当の予算は少なかったですよ。実績の10%も出ませんでした。そんなこともあってか、仕事関係で自己実現するという考えは持ち合わせておりませんでしたね。

一つの考え方ですが、働くということの主目的はおカネを稼ぐこと、つまり生きていくため、食っていくために稼ぐ必要があるからですよね。その部分と自己実現とかをごっちゃにすると、カフェのオヤジに言われるまでもなく、悲惨なことになりますよね。やりたいことをやらせてもらえないから辞める、引きこもる、…生きて行けますかね?そもそも目的意識をもっていれば、つまらなくてもこなす、辛くてもこなす、もフツーにできるような気がするんですけどね…。

そんな簡単なことじゃないのかもしれませんが、新卒で大手企業に就職しても直ぐに辞めてしまうとかって、何か勘違いに近いものがないですかね?企業の一員であるということが、どれだけ守られているかということを、深呼吸して、少し落ち着いて考えてから、動いた方がいいと思いますけどね。自己実現には一歩二歩近いところにいる個人事業主や自営業の人間からすれば、「やめとけ、落ち着け、もったいないぞ」と思いますよ。「こだわるべきところはそこじゃない」ということも付け加えましょうか…。

そろそろ隠居生活が目前という年齢になって、おカネを稼ぐことと自己実現は別ものという考えしか持てません。違った生き方もあったのでしょうか?でも人生は一回キリですからね。セカンド・キャリアは少しでも自己実現、パーソナル・ブランディングに見合ったものにしたいという程度の感覚です。家族や周囲の理解がなければ、それすら実現不可ではないですかねぇ。

自宅マンションの植え込みなんですけどね、年取るとこういうところに目が行ってしまうんですよ…

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