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清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : 売上計算

はあ、もう6月ですか…。早いですね…。

7月末で会社の第10期が終了します。…10年ですか。…10年ですよ。何だか前職の29年よりも感慨深いですね。事情はどうあれ、ムカついて辞めたときの年数とはわけが違います。自分なりに頑張ったとも思いますしね。

ただ法人化する意味があったかという部分は自分でも謎です。起業時に読んだ本では年550万円以上の売り上げがあるなら税法上は法人化することが有利と書かれておりましたからね。でもね~、全然利益なんて出ませんね。コロナ前はゆうに年間で1000万は超えていたので、課税団体でしたが、コロナ禍が始まったところからは下回っておりますから、今は非課税団体です。

コロナ直前の2020年2月は過去最高額かというくらいに絶好調だったのですが、そこから思い切り叩き落された状態ですからね。文字通り行列ができる隠れ家カフェだったんです。土曜日なんぞ、出勤してくるのが怖いほどでした。体力を温存するためにスタッフさんに立ち上げてもらい、11時の開店から少し過ぎて出勤していたのですが、階段に並んでいる方々に「スミマセーン」と言いながら駆け上がってきておりました。ひどい時は、スタッフ君が開口一番「助けてください」と言っていたことが忘れられません。私のトーク・イベントもギュー詰め、酸欠になりそうなこともありました。

やはりコロナでライフスタイルが大きく変わってしまった方々は多いのではないでしょうか。自分もあれこれやって今があるわけですが、飲食店経営を以前と同じように続けることなんて、まあ無理ですよね。席数も減らしていますし、営業時間も減らしておりますから。スタッフさんの人数も減って、人件費を抑えてはいますけどね…。いつまでやるか、もう少し走るかといったところで、メンタルがもつのかという気もします。前職の産業医からは「メンタルが強すぎる」と言われた人間ですけどね。カネの計算ばかりしている日々、「これがやりたかったことじゃないんだけどな」ということばかり愚痴っております。メンタル的に疲れております。

最近はコンサルの活動もあまりやっておりません。自分の店が満足な状態で回せていないのに、起業支援もありませんからね。それにしても、清澄白河は新陳代謝の早い町です。どんどん新しい店ができる一方で、どんどん撤退していきます。そもそも1年で半分が潰れ、5年で9割が潰れると言われる飲食店ですが、傍から眺めていて「無理やろ」という店の多いこと…。飲食店ではないですが、高級食パンは清澄白河に限ったことではなかったようで、ニュース・サイトを賑わしておりましたが、ウチのお店の近くにもありました。撤退した後、別のパン屋になって、そちらも数ヶ月で撤退しました。おむかいに開店すれば30人ほど並んでいるような強力なパン屋さんがある位置ですしね。町の規模にもよるし、…無理やって。

通説的に支出は仕入れ3分の1、固定費3分の1、人件費3分の1と言われます。売り上げ見合いでざっくり計算ができるわけですよ。スタッフさん1人雇って月25日営業したら、もう75万は売り上げないとキツイわけです。1日3万円!雨の日も…台風の日も、雪の日も含めて考えると、晴れ曇りなら4〜5万売り上げるくらいでないとね…。コーヒー屋だと一杯500円と考えて、コンスタンスに1日100人お客さんがこないとキツイんですよ。まあ仕入高が3分の1まで行かないでしょうけど、消耗品費やらいろいろかかりますしね…。自分の人件費は?スタッフ2人の店なら150万円、…200人、いやあ無理無理という気がしませんか?

アルコールがあるとグッと客単価が上がるんですけど、滞在時間は長くなります。30席の店なら20人も入ればもう満席状態。ランチだけなら3巡してくれれば…、あり得ませんよね。繁華街や駅近ならまだしも、…そうなるとテナント料が跳ね上がります。売り上げももっと増やさないと…。しかもこれ、ロスが出ないことが前提の数字ですからね…。売り上げ計算していると、ホントにメンタル疲れますよ。

それでも飲食店をやりたい人っていっぱいいらっしゃいます。印象としては、「ご馳走さま、美味しかった~」が聴きたいからやっているんですよね。目的がどうのでなくて、人なのかなぁ。私だって、やっぱり「美味しかった~」と言われるのは嬉しいですもん。自分の体力や諸々の事情を勘案して、レコード販売に軸足を移すことも検討しておりますが、飛び道具的な手法に頼る前に飲食だけで回せるか…、やはり頑張りどころはそこなんですけどね。

10年、…感慨深いものがありますよ。



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