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四国徳島で往診医をやっています。往診や在宅医療現場で気のついたことなど投稿しています。…

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四国徳島で往診医をやっています。往診や在宅医療現場で気のついたことなど投稿しています。 2024年3月「往診屋」という本を幻冬舎メディアコンサルティングから出版させていただきました。「往診屋の学び」というPodcastも始めています。 よろしくお願いします。

最近の記事

往診の加算について6月から改定。初めての患者さんに往診した場合は減算。都市部の市場原理に地方が振り回される。

2024年3月、厚生労働省から6月1日からの診療報酬の改定の内容が通知されています。 その中で往診についても改定がありました。 普段から訪問診療を行っていたり、外来で診たりしている患者さん以外に対しての夜間・休日往診加算と深夜往診加算が大幅に引下げされました。 深夜往診加算でいうと、2300点から485点に下がります。 何で厚生労働省がこんな改定をしたと思いますか? 公式文書では「適正化」しますとしか解説がありません。 今回、私はびっくりしてあれこれ調べました。あくまでネ

    • 往診・在宅医療現場におけるヒドロキシジン(アタラックスP)による対応例

      今日は実際対応にヒドロキシジン(アタラックスP)を使った対応ケースを紹介したいと思います。 こんな風にこの薬を使えるのか、あるいは往診でこんなことができるのか といったことを実際の現場の例を通じてご紹介できればと思います。 Case1 初診の患者さん 不穏、救急搬送拒否 87歳女性 普段近所の他院で高血圧治療。認知症は軽度あり。 当診療所は初診の方。数日前から食事できず、動くのがしんどそう。 かかりつけの近医で血液検査。貧血など指摘されて高次医療機関に紹介。 4

      • 往診の加算について6月から改定。初めての患者さんに往診した場合は減算。打撃なのか?それでも「往診」は続けるのか?

        今年3月、厚生労働省から6月1日からの診療報酬の改定の内容が通知されています。 その中で往診についても改定がありました。 普段から訪問診療を行なっていたり、外来で診たりしている患者さん以外に対しての 夜間・休日往診加算と深夜往診加算が大幅に引下げされました。 在宅療養支援診療所が行なった深夜往診加算で言うと、2300点から485点に下がります。 【以下一問一答】 この改定は、経営的に打撃ですか? 田舎だと初めての患者さんに対する、休日や夜間、深夜の往診依頼がそんなに多数あ

        • 往診の加算について6月から改定。初めての患者さんに往診した場合は減算。でも実際に必要な症例はある。

          2024年3月、厚生労働省から6月1日からの診療報酬の改定の内容が通知されています。 その中で往診についても改定がありました。 普段から訪問診療を行っていたり、外来で診たりしている患者さん以外に対しての夜間・休日往診加算と深夜往診加算が大幅に引下げされました。 深夜往診加算でいうと、2300点から485点に下がります。 先日の例で当診療所の往診例で言うと、夜1時半に、全く診たことがない70歳の男性の方から急な腹痛と嘔吐があるからということで往診依頼がありました。 普段、ど

        往診の加算について6月から改定。初めての患者さんに往診した場合は減算。都市部の市場原理に地方が振り回される。

        • 往診・在宅医療現場におけるヒドロキシジン(アタラックスP)による対応例

        • 往診の加算について6月から改定。初めての患者さんに往診した場合は減算。打撃なのか?それでも「往診」は続けるのか?

        • 往診の加算について6月から改定。初めての患者さんに往診した場合は減算。でも実際に必要な症例はある。

          往診・在宅医療現場におけるヒドロキシジンの使用 エビデンスレベルは高くないが往診医として伝えたい医療実践(1)

          往診・在宅医療現場におけるヒドロキシジンの使用 エビデンスレベルは高くないが、往診医として伝えたい医療実践、編の第1回としてヒドロキシジンを取り上げたいと思います。 なぜ、第1回として「ヒドロキシジン、商品名アタラックスP」かというと、2023年の医学雑誌「緩和ケア」において「ヒドロキシジンに役割はあるか」というタイトルの論文が出ていたのを読んだのがきっかけです。 この論文のまとめは、 終末期を含めたがん患者のせん妄に対してヒドロキシジンの有用性の根拠は乏しく、第一選択肢

          往診・在宅医療現場におけるヒドロキシジンの使用 エビデンスレベルは高くないが往診医として伝えたい医療実践(1)

          往診屋の医学書探訪「ハイパーソノグラファーK」 良書は命を救う。

          四国徳島で往診医をやっている渡部です。 「往診屋の医学書探訪」では、往診や在宅医療の観点から、診療する上で役に立ったり、支えになってくれている医学書の紹介をさせていただきます。 今日ご紹介する医学書は「ハイパーソノグラファーK」という本で、山田博胤先生・小谷敦志先生の共著で2020年にメディカ出版から出版されています。 私にとって良い書籍とは何かと言いますと、その本がある分野の世界観を教えてくれて、それが何らかの形で自分の中に入っていき、そしてそれが力になって、人の役に

          往診屋の医学書探訪「ハイパーソノグラファーK」 良書は命を救う。

          きみのお金は誰のため 往診屋のReading List(2)

          四国徳島で往診医をやっています。 「往診屋のReading List」では、往診や在宅医療の現場で心の支えになるような本やそのフレーズについて紹介しています。 今日ご紹介する本は「きみのお金は誰のため」2023年に田内学さんが東洋経済新報社から刊行されています。私がこの本と出会ったのは、ポッドキャストがきっかけです。Podcastに「ゆかいな知性」という番組があり、その中で「お金と経済編」を現在発信中ですが、そのパーソナリティを務めているのが田内学さんです。 このPod

          きみのお金は誰のため 往診屋のReading List(2)

          「往診屋」往診屋のReading List(1) 

          https://youtu.be/cNRsURRFva4?si=S4-P2gnYlWIvsehc 本を紹介させてください。 往診や在宅医療現場で応用できそうな書籍やフレーズについて紹介させてもらっていますが、今回恥ずかしながら私自身の著書を出しました。 タイトルは「往診屋」 この本は、在宅医療の中で 「往診」に重きを置いて書いています。往診と在宅医療の関係、あるいは在宅医療の中での往診の位置付けがなかなか分かりにくい方もいると思いますので、簡単に解説させていただきます。

          「往診屋」往診屋のReading List(1) 

          怒りは往診の敵(2) 往診や在宅医療現場特有のヒューマンエラー

          https://spotifyanchor-web.app.link/e/6cKWy8bS1Hb https://youtu.be/s7KayN16aC0 往診屋の学びでは、「怒りは往診の敵」編を始めています。 前回、往診や在宅医療の現場に怒りが及ぼす悪影響について、5点を挙げました。 その中の1つ目で、怒りはミスの元、と述べましたが、今日は、 「往診や在宅医療現場におけるヒューマンエラーと怒り」というテーマでお話します。 ミスとヒューマンエラー、ほぼ同じ意味に使われま

          怒りは往診の敵(2) 往診や在宅医療現場特有のヒューマンエラー

          怒りは往診の敵(1)

          https://spotifyanchor-web.app.link/e/dWzEdJPYPHb https://youtu.be/zKg0PqTclEY 怒りは 往診の敵 というテーマで書かせていただきます。 所長の渡部は今、50歳代半ばになってきているのですが、怒りは人生の、人間の不幸の元であるということを強く思うようになりました。 この怒りの克服こそが自分の人生の、あるいはもっと大きく言えば人類の幸せの道であるというふうに考えるようになってきました。 ただ実際には

          怒りは往診の敵(1)

          日本医療のポテンシャル「医学教育教材」

          この度1月に、私の属しているNPO法人のTICOから、JICA草の根技術協力事業ということで、カンボジアに行ってきました。カンボジアの病院で視察して、そしてカンボジアの医療者に初期救急対応のトレーニングをしてきました。前回この番組で、海外に出てみてよく分かった日本医療のPotential潜在力の話をしました。 その第一弾として、医療機関皆保険制度(全ての医療機関が1つの公的保険制度の中で医療を行っている)を出させてもらいました。 第2弾として挙げたいのが「医学教育コンテンツ

          日本医療のポテンシャル「医学教育教材」

          海外渡航して分かる、日本医療のPotentialとして大事にしたいものとは

          日本医療のPotentialを考えるカンボジアに出張してきました。私の属するTICOというNPOで、JICA草の根技術協力という事業をやっています。約3日の滞在で初期救急対応のトレーニングをカンボジア現地の医療者と一緒にやらせてもらいました。 その中で、カンボジアの医療者と意見交換をしたり、現地の病院を視察させてもらったりしました。 そうすると、カンボジアの医療事情について知ることができると同時に、 日本の医療の特徴についても見えてくるものがありました。 日本でいると

          海外渡航して分かる、日本医療のPotentialとして大事にしたいものとは