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怒りは往診の敵 運動脳で克服できるか


在宅医療、往診の現場は怒りの元もエラーの元もいっぱい存在しています。
これは仕事の上で仕方のないことだと思います。
ただ、、1つのイライラがエラーを生んで、そのエラーがまたイライラを生んで、さらには他の人まで巻き込んで、さらにイライラが増幅してエラーも続いてしまう事態は避けたいものです。

怒りをできるだけ小さく抑えて、早く収束させる方法について、書籍からヒントを得ながら、考察したいと思います。

今日は、怒りを運動で克服できるのか。アンデッシュ・ハンセン氏の著作「運動脳」から考えたいと思います。

精神科医であり、科学情報をいろんなメディアで発信しているハンセン氏は、日本では2020年に出版された「スマホ脳」で有名になりました。
今回取り上げる「運動脳」という本は、もともと「一流の頭脳」というタイトルで2018年に日本でも出版されていましたが、そのリメイク版です。
著作を通じてとにかく運動をすることでストレスがとれて集中力が高まるということを強調していますが、その中で脳科学の知見が分かりやすく解説されています。

今日は、その中で第2章「脳から「ストレス」を取り払う」の記述を応用して、往診・在宅医療現場でどのように怒りを少なくするか小さくするかを検討します。
「運動脳」を応用して往診・在宅医療現場の怒りを克服するための4つの方法を場面ごとに考えてみました。
その中で私が実際にやっている方法でもあります。何かヒントになれば幸いです。

運動脳、往診・在宅医療現場への4つの導入方法
1)怒りを起こりにくくするための日々のルーチン
2)怒りを小さく、短く収めるための予防的トレーニング
3)怒りが起きた時に、早めに小さく鎮めるためのルーチン
4)怒りの元、ストレスがたまった時の治療

1)怒りを起こりにくくするための日々のルーチン
 脳科学的機序:自分の脅威となる情報が脳の中の扁桃体を刺激する。これがストレスの元になるホルモンを分泌させる。これが負荷になってストレス、怒りにつながる。
 この状態が起きにくくすることが重要。
 導入方法:朝1番、あるいは午後の出発時のつま先立ち、肩回し
 効果:リラックスした集中力の養成する。扁桃体の刺激に対して回復が早くなる。

2)怒りを小さく、短く収めるための予防的トレーニング
 脳科学的機序:脅威に対してHPA(視床下部、下垂体、副腎皮質)というホルモン分泌機能が瞬時に反応して、コーチゾルが分泌される。
 これがストレスとなり怒りが起きる。これを小さく早く終わらせることが鍵。
 導入方法:少し息が上がるくらいの追い込むトレーニング 終業前後の10分などがいい機会
  TABATA 、HIITと言われる20秒フルに動いて10秒休憩するエクササイズ、1分間ジャンプ、スクワットなどの下半身の筋トレ
 効果:コーチゾルが分泌される状態に脳が慣れてきて、ストレスがあっても脳が早く回復する。

3)怒りが起きた時に、早めに小さく鎮めるためのルーチン
 脳科学的機序:脳の中で怒りを抑える役割をしている海馬や前頭葉の前頭皮質がある。ここを活性化させ、扁桃体の興奮を鎮める。
 導入方法:仕事の中でイライラが起こっている時に、脚回し、ブラジル体操等を行う。深呼吸もいいかもしれない。1−3分くらい集中して、心拍数を少し上げることが大事。
 効果:興奮を鎮める海馬や前頭葉の前頭皮質を活性化するルーチンを作って早く小さく鎮める力をつける。

4)怒りの元、ストレスがたまった時の治療
 脳科学的機序:ストレスが溜まるとさらにそれがストレスの元になる。これがあまり頻繁に続くと病的になる。
 軽い持続的な運動は、コーチゾルのレベルを下げ、興奮を鎮める海馬や前頭葉の前頭皮質を活性化する。
 導入方法:朝仕事前、昼休み、仕事後、休日等に時間をとって、10分程度のジョギング、ウォーキングを行う。
 効果:薬物や専門家による面接と同程度かそれよりも効果があることが証明されている。

こんな話をするのは、実際に私がしょっちゅう往診現場でイライラしていたり、それでエラーが起きそうになったりしているからです。
でも、こうした運動を取り入れることで、確実に怒りを小さくしたり、早めに鎮めたりはできているかと思っています。

引き続き、往診・在宅医療現場で怒りをどう抑えて、エラーを少なくして気持ちよく仕事をして、患者さんの治療結果をよくするかについて考察を続けていきたいと思っています。


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