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僕が1年間の育休を取った理由

2021年4月に子どもが生まれたのを機に、1年間の育児休業(以下、育休)を取っている。もう残りも少なくなってきたので、その背景と理由を書いておこうと思う。

はじめに

男性の育休については諸先輩方が既にネットで発信したり本を出版したりしている。特に、育休直前に読んだ以下の本がとてもおもしろく(今年ドラマ化もされていたらしい)、僕がいまさら書くことは何もないのではと思った。

しかし、育休を取りたいと思う理由や背景にある事情は人によって千差万別。一方で実際に育休を取る男性はまだ少数派で、身近なモデルケースは少ないだろう。

僕がはじめにネットで読んだ体験談のほとんどは、パートナーの職場復帰を早めたいという動機だった。そうではない僕は、こんな理由で育休を取っていいのかと少し悩んた。

もしかしたら、同じように育休をためらう人がいるかもしれない。そうしたことが少しでも減るといいなと思い、様々な考えの1つとして、僕の個人的な体験をネットの片隅に置いておこうと思った。

なお、育休の制度に関する説明には触れないので、興味のある人は検索してみてほしい。

僕が見たサイトで以下はわかりやすかった。

お堅いのはこちら。

また、我が家の構成は30代共働き会社員夫婦で、今年生まれた子どもが第1子である。夫婦ともに1年間の育休中である。

育休を考えたきっかけ

僕が初めて育休というものを意識したのは、2017年11月にたまたま育休経験者の記事を読んだときだったと思う。

記事を読む少し前にプロポーズをしており、将来子どもほしいね、と2人で話していた頃だった。また、その前年まで仕事がかなり忙しかったことから、将来の働き方、仕事に対するスタンスについて考えていた時期でもあった。そういうタイミングで記事を読み、もし子どもが生まれたら育休を取ってみたいなと漠然と思うようになった。

育休を取得した理由

理由は5つある。それぞれ説明する。

1. 男性の育休経験者はまだ少数派だから

厚生労働省が発表した令和2年度雇用均等基本調査によると、男性の育休取得率は12.65%、男性の育休取得者のうち取得日数が5日未満は28.33%だそうだ。これより、男性で5日以上の育休を取っているのは9%程度ということになる。取得日数ごとの詳細な分布は記載されていないが、少なくとも、1年も育休を取る男性は9%もいないだろう。

幸いなことに、僕の職場は男性でも長い育休が取りやすい。半年、1年取った人も既にいた。せっかくそういう環境にいるのだから、自分も1年取って、ちょっと珍しい経験をした人になってみたかった。

ちなみに、かつて僕の職場で初めて育休を取った男性はいきなり1年取ったらしい。前例ができたため、長い育休が取りやすい環境になったのではないかと思う。よい前例を作ってくれた人に感謝である。

2. 会社員の立場を活かしたかったから

僕の知人には個人事業主として働いている人が何人かいる。素敵な仕事をしていて、僕は密かに彼らのような生き方に憧れている。しかし、僕はこれまでの人生でそのような選択をしてこなかったし、今後もその予定は今のところない。

憧れの生き方ではないけれど、今の生活にはメリットも多い。それを活かしたいと思っている。そのひとつが、育休だ。

育休という制度は雇用されている労働者が対象であり、個人事業主は対象ではない。せっかく会社員をやっているのだから、育休をぜひ使ってみたいと考えた。

なお、個人事業主に育休はないが、育休的な働き方をする人はいるようだ。以下の本に事例が書いていた。

3. 子どもが4月生まれだったから

これは1年間取る理由のひとつ。育休復帰後は保育園に預ける予定だ。保育園は4月入園が入りやすい。育休を1年間取ることで、育休からの復帰と保育園入園をスムーズにつなげることができる。(はず。保育園に無事入れれば)

4. 不器用な性格だから

僕はひとつのことに集中して取り組むのが性に合っていて、複数のことを同時並列に進めるのは得意ではない。初めての育児をいきなり仕事と両立しながらやる自信がなかった。

いつかは仕事と育児を両方やらなければいけなくなるのだが、少なくとも生まれてすぐは育児に専念したかった。

5. 子どもがどんなふうに育つのか知りたかったから

正直言うと実際に育休に入るまできちんと言語化できていなかったのだが、これが最も強い理由だった。

自分の子どもがどんなふうに生まれ、育っていくのか。育児とはどんなことをするのか。それを知りたかった。過程も含めて実際に体験したかった。妻に任せっきりで育児のほとんどを経験できず、いつのまにか大きくなっていた、というのは嫌だった。

もちろん育休期間は有限だから、ずっと見続けることはできない。でも、できる限り多くの時間を体験したいと思った。

育休の相談タイミング

本筋から外れるが、ついでに育休を周りに相談したタイミングを書いておく。

きっかけの章に書いたとおり、育休を考え始めたのは結婚前だった。妻にそのことを話したのは入籍の次の日。職場の上司には結婚報告のついでに、子どもが生まれたら育休取りたいと希望を伝えておいた。これが妊娠の2年前。

実際に妊娠がわかってすぐ妻に育休を相談した。妻からは取っても取らなくてもどちらでもいいと言われた。妊娠8週で育休復帰済みの同僚に話を聞いた。妊娠12週で上司に話し、1年間の育休を取りたいと伝えた。育休開始の半年前だった。

育休中に思うこと

育休には「休」の字がついているが、実際に過ごしてみると全く楽ではない。もちろん、仕事をしながらの育児やひとりでの育児と比較すると楽だろうけど。

毎日休みではあるが、全く休みがないとも言える。予測不可能な行動をする子どもの世話で1日があっという間に過ぎる。土日祝日など関係なく、週7日、毎日が同じ生活の繰り返し。慢性的な睡眠不足。妻と2人体制でも自分のことをするのはとても難しい。この記事も3か月かけて細切れにしか書けなかった。自由気ままにひとりで暮らしていた独身時代が懐かしくなることもある。

でも、日々(本当に日々!)変化する子どもに、妻と一緒に驚き、喜び、悩み、心配する生活は、父親初心者にいろんなことを少しづつ教えてくれているのかもしれない。

それに、3人がこんなにも四六時中一緒にいることは人生でもう二度とないだろうから、果てしなく続くかのような、このひきこもりストイック生活はとても稀有な時間なんだと思う。

育休を取ることは誰に言われたわけでもない。結局は育休を取ってみたいという僕自身の欲だ。だから、育休を取ったことが妻やこの子にとって本当に良かったのかは今もよくわからない。育休が終わって何十年もたてばわかるのだろうか。

各家庭の事情、価値観は様々だから、誰もが育休を取るべきとは思わない。パートナーとたくさん話し合って決めたらいいと思う(僕はもっともっと話し合えばよかったと少し後悔している)。そして、育休を望むなら、長くても短くても男女関係なく自由に取れる社会になったらいいなと思う。

最後に、本記事の見出し画像として、noteみんなのフォトギャラリーからyukkoさんの絵を使わせていただいた。見た瞬間に目が釘付けになり魅入ってしまった素敵な絵で、こんなふうに子どもと美しい空を見上げていたいと願った。ありがとうございました。

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