水曜日はスキレター

powered by たかやん 様 & 久保田 友和

わたしとしては3回目のスキレターです。


今回のスキレター

noteの世界には本当にいろんな世界の凄い方がいらっしゃるな、と感じます。そこそこ生きてきましたが、わたしの世界はこんなに狭かったのか!?と思わされます。

noteで、素敵な作品に出会うことができました。


今回は畏れ多くも、書家の方です。

書家・彩雪 様 でございます。
書に、心を射抜かれてしまいました。

いろんな書体や言葉に、唸ったり刺激を受けたり見とれたりしているのですけれども、わたしが心を射抜かれた書は、これです。


羇:き

『羇』◎旅・旅人

とあります。


これを拝見したときに、頭の中に

駒なめて
 いざ見にゆかむ ふるさとは
  雪とのみこそ 花は散るらめ

よみひとしらず
古今和歌集 巻第二 春歌下

が思い浮かびました。
この歌は、羇旅歌の括りではなく、春の歌なのですが。

「馬を連ねて、ふるさとを見に行こうよ。
 きっと、雪が降るように花が散っているだろうさ」

もう暖かくなって、おそらくは花の散った都にいる人が、思い入れのある場所を懐かしんで歌ったものだと思います。春の歌。

一方、羇旅歌とは、万葉の頃には既に歌われていたもので「家を離れ、旅へ出るにあたって安全を願う」という心から出たものです。当時の「旅」は現在思い浮かべるものとかなり意味合いが違っていて「慣れ親しんだ場所から遠く離れ、長距離を移動すること」の性格が強いように思います。また、昔の「旅」のいくつかは片道切符だったことでしょう。

この「羇」の書が目に入ったわたしは、こういった遠い昔の羇旅とはちがった、現代的な旅を思いうかべ、それは「春の歌」だったのでした。


「駒なめて・・・」の歌にある駒とは、馬のことです。

そうなったら
ここから私に連想されるのは、やはり今の時代の鉄馬。
バイクです。
現代の鉄馬に連れて行ってもらった場所は数知れず。

そしてこれは春の歌。
春といえば、桜。
日本三大桜と言われる、
三春の滝桜、北杜の神代桜、根尾の薄墨桜。
すべて「駒なめて」、鉄馬を連ねて見に行ったものです。寒さと暖かさの間を行ったり来たりしながら。


そうした思い出を眺めながら
新春に彩雪さんの書かれた文字を
もう一度見つめたのです。


・・・だんだん「羇」という文字が
バイクとライダーに見えてきました。

右向きのバイクに、人が乗っている。

・・・何を言ってるかって?
わたしに見えたのはこういうことでした。

まず
右下の「」をみてみましょう。
これを構成する「」の部分、
縦棒はバイクのフロントフォーク、つまり前輪を支えるパイプ。
横棒はフレーム、バイクの骨格にあたる。
そうして「」は、エンジン。
フロントフォークとフレームでエンジンを抱えている。
その上に乗っている「」はハンドルなのです。

(あみがしら)はライダーの頭から首の部分。
「あみ」であるヘルメットをかぶっている。

そして
」のジャケットとパンツに身を包んだライダーが
バイクと一体になっている。


こうやってわたしには
書の世界に吸い込まれて
「バイクに乗っているライダー」
が見えてきました。


イメージとしては、・・・こんな感じ?
ヘルメットかぶってないけど。

き

この文字がそんなふうに見えたのは、初めてでした。


そう思ってもう一度文字を見てみると、
・・・あれれ? 
「羇」は「羇」という文字のままです。
いや今度は、目の澄んだかしこい馬が、逞しい脚を休ませているようにも見える。


鑑賞者の立場から感じたこと

 わたしは彩雪さんの作品をきっかけに、書という芸術は、受け手の解釈の自由を受け止めてくれるものではないか、と感じました。それを見た人、感じた人を想像の世界へ連れて行ってくれる、魔法のようなもの。紙と墨、という構成要素の少なさと、表現の自由度の高さとが、鑑賞者の想像力をおおらかに包むように思います。

 鑑賞者が想像の世界から還ってきたら、書は書として静かに元の場所に在るのです。同じ作品であっても、次に見ると、見た人の心の状態を映して、また同じところへ、あるいは違う世界へといざなってくれるでしょう。書には、そういう豊かな力があるのだ、と思うようになりました。


わたしにとってこの作品は魔法のようで
拝見したひととき、
想像力に身をゆだねた旅の時間をいただきました。


この作品を書いていただき、
どうもありがとうございました。


ではまた、スキレターでお会いしましょうヾ(*´∀`*)ノ




そもそもスキレターとは


きっかけは、たかやん様のアイデアで、ルールに沿って!?、noteの片隅(や、真ん中やいろんなところ)で水曜日に「スキ」を叫ぶ、自発的な企画です。

コメントのようにやり取りをするのではなくて、あくまでも自分の気持ちを込めて送るメッセージです。相手からの返事が欲しいのではなく、ただ純粋に「面白かった」「良かったです」という気持ちを伝えるだけの健気で純粋なシステム、それがスキレターなのです。
たかやん様の記事より引用


わたしがこの記事で大切にしたいことは

・どこがスキなのかとか、気持ちを勝手に伝えるw
・リアクションを求めない。
久保田 友和 様の記事より引用


お二方の思いに賛同し
尊敬と感謝を込めて

また
その心意気から外れないように
ここに記しておくものです





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