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”自立しているのに、依存できるシェアオフィス”ってどんなところ?出戻りスタッフが、一度離れてわかったこと

 関内のシェアオフィスG Innvation Hub Yokohama(以下G)は、2019年にスタートし、この6月で5周年を迎えました。
これまで、入居者さんや、Gとかかわり深い関内で働く方々をインタビューしてきましたが、4回にわたりスタッフを紹介します。第2回目の小室真知子さんの前職は、地域情報紙の記者。これまでさまざまな場を取材しながら感じていた「コミュニティってどう成長するんだろう?」という疑問を、場の運営者として記者目線の逆側から見続けています。お互いさまという言葉がしっくりくるGは、「それぞれが自立しているけど繋がっている理想的な社会」だと話します。

地域のさまざまな場を取材した経験から、Gのこれからに興味を持った


入居者さんとのコーヒータイムは、近況を聞いたり、Gの運営を相談したりと大切な時間。入居者とスタッフというよりも、同じオフィスにいる仲間の感覚に近い。

 Gで働く以前は、地域新聞を発行しているタウンニュース社に19年半勤務していました。記者として担当したエリアは小田原や茅ヶ崎、藤沢、中区・西区、保土ケ谷区などです。その間に2人の子を出産をしましたが、子育てと仕事の両立に悩むことが多くなり、退職を決意しました。しばらく子育てに専念するつもりでいましたが、Gの立ち上げについて語る関係者の対談を読んで、「なんだか面白そう」と応募。オープンの2カ月後の2019年8月から、働き始めました。タウン社にいたころは、さまざまな場を取材することが面白いと感じる一方で、「このコミュニティは、どうやって作っているんだろう」といつも思っていました。Gはオープンして間もない場だったので、この場がこの先どうなっていくかを自分が中に入って見届けられると思ってワクワクしましたね。関内がある中区エリアを担当していた時期もあったので、関内のまちが変わっていくことも肌で感じていましたし、市庁舎移転後のまちづくりにも興味がありました。

関内と小田原をつなぎたい、一人勝手に大使としてPR

 現在は主に、GのSNSの更新やホームページの記事執筆、編集などをしています。書く業務が多いですね。Gは写真映えしますし、映像である程度伝わる施設ではありますが、Gは雰囲気やコミュニティが魅力だと思うので、細かいニュアンスを言葉で伝えることも大事だと思っています。今ではAIで簡単に文章が作れますが、大事な部分は、自分で使う単語を選びたいいう、小さなこだわりもあります。なので今さらですが、たくさん本を読んでいます(笑)。
 普段は内覧予約した方を案内することが多いですが、先日は私の故郷、小田原にあるコワーキングスペースARUYO ODAWARAのイベント登壇し、GをPRしてきました。小田原と関内は一時間程度で行けますし、住民同士の距離感が近いところ、街に誇りがあることは、似ていると思います。だからもっと関内のことを知ってほしいなと思いますし、Gがふらっと立ち寄れる場になってほしいですね。反対に関内の人はちょっとした気分転換などで小田原に行ってみて!と伝えたいです。駅を降りると富士山が近いですし、お城が見えます。非日常感がありながら、急な用事があっても1時間で帰られる手軽さが良いと思うんです。私が勝手に両方をつなげる大使的な役割を担っていこうと思っています(笑)。小田原とつながったことで静岡県三島市の施設ともつながりができて、ネットワークが広がってきたことが今楽しいです。

関内のまちそのものがオフィスという感覚で働きたい!

月1回の交流会の準備。名刺が必須のビジネス交流会ではなく、食を通じてゆるやかにつながれる場を大切に企画している。

 オープンして半年、これからというときにコロナが流行し始めました。心配しましたが、それでも退去する人がほとんどいなかったのはとても嬉しかったです。そのころはこの雰囲気を言語化するのが難しかったのですが、今思えば、入居者さんみんなで一つの会社みたいな感じだったのかなと思います。
 今では、関内というまちそのものが一つの大きな会社というような感覚で働いたら面白いだろうなと考えるようになりました。ファウンダーの相澤毅さんには当初から言われていましたが、いまいちそのイメージがつかめずにいたんです。最近では、関内のまちの人たちと一緒に仕事をしている入居者さんが増えてきたので、「関内にあるG」という場でありたいです。

自立しているし、頼ることもできる

実は私、一度転職して、辞めたことがある出戻りなんです。みんなに盛大に送り出されたのに、2カ月で戻ってくることになり、恥ずかしいたらありゃしないという状況で(笑)。でもスタッフも入居者のみなさんも、優しく「おかえり」と言ってもらえて。困ったときに素直に助けを求められる職場なんだと、心から思いました。入居者さんの出戻りもよくあるし、Gを退去されたあとも、スタッフや入居者同士、交流を続けているので、戻ってきやすいのだと思います。
Gのコミュニティってどう表現すればいいんだろうと常々思っているのですが、最近読んだ本にあった『自立とはたくさんの依存先を持つこと』という言葉がGそのものだと感じて印象に残りました。自分ひとりではできないことがあって困った時に、「この人に頼ってみよう」と声がけをしてつながることがGの中でできています。これこそがGの価値だと思うのです。私から見たGは、「それぞれが自立しているけど繋がっているという、理想的な社会」です。
 思えばGは、長期休みになると、子連れ出勤する方がいます。子どもがオフィスにいると、「あ、夏休みなんだね」と温かい目で迎えてくれます。入居者さんの生活の延長にGがあり、働くと暮らすがうまく融合しているんだなと感じます。
 関内は、市庁舎が移転し、今再開発が進んでいます。まちの様子が大きく変わるタイミングだとは思いますが、Gの入居者さんも、まちの人も、しっかり自分のビジネスを確立しているし、心も温かい人ばかり。きっと住みやすく、働きやすい街になると思っています。


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