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便利なツールに頼らない、日常のコミュニケーションで、仕事効率と完成度を上げた

昨年9月に営業を再開した横浜マリンタワー。今年3月にホームページの大幅リニューアルを行ったが、制作にはG Innovation Hub YOKOHAMA(以下G)のスタッフと入居者が携わっている。発注者でありGのディレクターでもある横浜マリンタワー広報櫻井怜歩と、デザイン担当(株)シンバル百崎崇さん、コーディング担当福田卓也さんの三人だ(以下敬称略)。座談会の第二回目となる今回は、シェアオフィスだからできたリアルなコミュニケーションでのプロジェクト運営について(前回の記事はこちら)。


やっぱり文字だけで細かいニュアンスを伝えるのは難しい

入居当初は、ドアがないセミオープンブースだった百崎さん。気軽に声をかけやすく、コミュニケーションがスムーズに。プロジェクト中は二人が会話する様子をよくみかけた。


櫻井:違うオフィスに3人がバラバラにいるわけじゃなくて、ひとつの空間にいて話せるのはどうでしたか?私はすぐに話せるのがありがたくて。
百崎:それはこっちもありますね。すぐに確認ができる。
福田:チャットとかズームとか便利なツールなんですけど、やりとりしていると殺伐とするというか、違ったニュアンスに聞こえたりするときもあるし。例えば、デザインや素材をもらって「ここをもっとこうしてほしい」というのを文章にすると、こっちから指示を出しているつもりではないけど、「ここが嫌だ」みたいに伝わってしまうのがすごく嫌で。対面で話したほうが、「ここがこうだとやりやすいんですよね」みたいな軽いニュアンスを伝えやすいです。
百崎:感覚的なものを文章で伝えるのは難しいですね。
福田:その文章を書くのもすごく悩むし、それでまた行き違いがあったりするとプロジェクト的にも嫌な雰囲気の流れになるじゃないですか。
櫻井:ここ修正してほしいっていう物が文字とか具体的なものならわかりやすいですけどね。
百崎:長い文章になってもわかりづらいし、サクッと一言にしたら冷たい感じになっちゃうし。
福田:「ここをこうしてください」と「ここをこうしたいんですよね」というそのニュアンスの違い伝えるのが難しいので、同じ場にいるというのは進行としてはやりやすい。
百崎:これがシェアオフィスの仲間ではなく、たまにズームとかで話すだけのやりとりだったらもっと殺伐としたかもしれない。

関係性を壊したくないから、無理なことは無理ときちんと言う

百崎さんの隣のセミオープンブースにいる福田さん。ちょっとしたこともすぐに聞ける関係性は、まさに”ご近所付き合い”だ。

櫻井:逆にシェアオフィスだからやりにくいことはありますか?
福田:前のシェアオフィスにいた時からそうですけど、近すぎると何かあったら嫌だなという意識がすごく働くんです。同じ業界だったら良いんですけど、「うちのホームページを作ってください」みたいなサクッとした仕事の要望がきた時に、感覚的に「これは難しいかな」と思うことがあるんですよね。でも同じ場にいてお断りするとか、無理ですって伝えるのって伝えにくいじゃないですか。うまく関係性を壊さないように「できません」を伝えるのが…。完全に外注のものならそこまで思わないんですけど、Gは日頃から入居者同士のコミュニケーションがあるシェアオフィスなので、その後のお付き合いとかを考えると少し気をつかいますね。
百崎:確かにそれはありますね。
櫻井:今回サイトができた後に細かな発注も2、3回しているんですよね。「作ったら終わりです」ではなくそのあともかなり作業してもらったんですけど、福田さんは「今週はこういう感じで無理なのでいつになります」って、はっきり言ってくれましたよね。
福田:10年この仕事をしてきた中で、無理なものを無理と言わないで受けちゃうとあまり良くないことのほうが多くて。無理なものやできないことは言わなきゃいけないし、入居者同士で距離が近いからこそ、そこに気をつかわないといけないというのがありますね。
櫻井・百崎:言っていただいたほうがありがたいです!
福田:櫻井さんや百崎さんはなんとなくそれを言っていい感覚がありましたけど、人によってそこは違うかな。似たような業界の相手なら「それは外注に出してほしい」とか言いやすいのはあるし、櫻井さんは、同じ業界ではないけれど、プロジェクトでやる仕事に慣れているからあまりそこら辺に気をつかうことがなかったですね。
百崎:業種が違うとそこら辺はちょっと分かってもらえないかもしれないですね。同じ業種の相手なら「あ、だよね」みたいに終われるけど。
福田:関係性も壊したくないですないから、価格とか納期とかを含め、交渉事は距離が近いとしづらいときもありますね。

シェアオフィスでのコミュニケーションについて語る百崎さん(左)と福田さん(右)

お互いを尊重する大人なコミュニティだから信頼が築ける


櫻井:ランチ交流会や普段のなにげない会話のなかで、ここまで関係性が築けるシェアオフィスって、珍しいと思うんですよね。それがホントに、昔ながらのご近所づきあいみたいだし。わからないことがあればすぐに聞ける、迷ったら相談にのってくれる、みんなで悩みを共有する、勉強会をする、、、どれもスタッフを介さずとも自発的に発生しているのが素晴らしいなぁと。なぜこんなことができるかって、入居者さん同士がお互いを尊重する大人なコミュニティであるからだと思っています。だからこそ、信頼が生まれ、仕事も一緒にできるし、もちろん言いにくいこともあるけれど、きちんと伝えることができる関係性が築けているのだと感じています。

≪次回に続く≫

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