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【pythonの練習】マクロ経済学の再構築

吉川洋(2020)『マクロ経済学の再構築—ケインズとシュンペータ—』、岩波書店

どうも、犬井です。

 最近プログラミングを少し勉強しています。どうせならオリジナルでコードを書いてみたいなと思い、ネタを探していました。そこで見つけたのが、吉川先生の『マクロ経済学の再構築』という本です。吉川先生は言わずもがなですが、日本のマクロ経済学において最大の権威です。『ケインズ』(1995)、『現代マクロ経済学』(2000)等、素晴らしい本を出し続けています。

 そして満を辞して書かれたのが今回の『マクロ経済学の再構築』(2020)(英語版は2015年)です。本書では主流派経済学の計量経済学を否定し、統計物理学を用いたミクロ的基礎付けによって、マクロ経済学の再構築に挑戦しています。一度読んで、この本は自分が一生読んでいく「古典」になると確信しました。というわけで、先生が提示されているモデルをいつでも動かせるように、コードを書こうと思い立ったわけです。

そして書いたコードが下です。具体的な数式が使われている3章、4章をメインに作りました。

「図3-2 指数分布(ボルツマン分布).py」を実行した時に描出されるのが下の図です。

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吉川先生が使った具体的な変数がわからないので、変数は恣意的に決めました。ただ、吉川先生が実際にシュミレーションされた図とかなり似てるので、数字はほとんど一緒だと思います。

「図3-8 異なる生産性を持つセクター間の労働力分布.py」を実行した時に描出されるのが下の図です。

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これも吉川先生が実際に扱われている数値を予測してコードを書きました。ここでは、労働者数Nを100としたら、吉川先生と同じグラフが得られました。

「図3-11 総需要の水準が極端に高い、あるいは低いときの生産性(職の質)の分布.py」を実行した時に描出されるのが下の図です。

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これはモデルそのままなので言及なし。

「図3-12 生産性分布と総需要.py」を実行した時に描出されるのが下の図です。

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教科書に書かれている吉川先生の図では、線形のグラフになっているのですが、提示されている公式では線形にできなかったので、プロットで妥協。教科書をみていただいたら分かるのですが、公式には職の数が整数という制約条件があるので、整数以外の場合は具体的な計算ができませんでした。

そのため、「図3-13 存在する「職」の内、実際に雇用者によって占められる割合.py」を実行した時もプロットに。

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色々試したのですが、リニアにすることはできませんでした。この辺りは、お会いする機会があったら、どうやって整数以外の数値を求められたのか、ぜひお聞きしたいですね。

そして最後が、「図4-9 加速度原理による景気循環.py」を実行した図です。

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これは吉川先生オリジナルのモデルではなく、サミュエルソン、メツラー、ヒックスらがモデル化した「加速度原理」です。吉川先生は、景気循環モデルではこの加速度原理を支持されているので、一応コードを書きました。

周期tを30まで拡大したらこんな感じ。

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1回の外的ショックによって、ちゃんと木馬のように振動してますね。

プログラミングが得意な方なら、もっと簡潔に、もっと計算量が少なくコードがかけると思われますが、今の私にはこの辺が限界です。修正点があればぜひご教授を。

では。

#python #プログラミング #経済 #本 #読書

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