犬井灰根

京都の大学で浅く広く、様々な分野を勉強中。大学でとある先生に感化されて、政治経済に関心が高まってます。読んだ本について書き留める空間として、noteを利用。時事ネタについて言及することがあります。

犬井灰根

京都の大学で浅く広く、様々な分野を勉強中。大学でとある先生に感化されて、政治経済に関心が高まってます。読んだ本について書き留める空間として、noteを利用。時事ネタについて言及することがあります。

    最近の記事

    【pythonの練習】マクロ経済学の再構築

    吉川洋(2020)『マクロ経済学の再構築—ケインズとシュンペータ—』、岩波書店 どうも、犬井です。  最近プログラミングを少し勉強しています。どうせならオリジナルでコードを書いてみたいなと思い、ネタを探していました。そこで見つけたのが、吉川先生の『マクロ経済学の再構築』という本です。吉川先生は言わずもがなですが、日本のマクロ経済学において最大の権威です。『ケインズ』(1995)、『現代マクロ経済学』(2000)等、素晴らしい本を出し続けています。  そして満を辞して書か

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      • 富国と強兵

        中野剛志(2016)『富国と強兵—地政経済学序説—』、東洋経済新報社  なぜ主流派経済学は正しい貨幣観を得ることができないのでしょうか。なぜ新自由主義はかくも頑健なのでしょうか。なぜ日本はバブル経済を経験し、その後の長い停滞を抜け出すことができないのでしょうか。なぜ中国は東アジアにおけるアメリカの覇権に対して挑戦できるほどの大国になりえたのでしょうか。  本書は、こうした様々な問いに対して、地政学と経済学を融合させた「地政経済学」という視座に基づいて、答えを提示しています

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        • GLOBOTICS(グロボティクス)

          どうも、犬井です。 今回紹介する本は、リチャード・ボールドウィンの『GLOBOTICS (グロボティクス) グローバル化+ロボット化がもたらす大激変』(2019)です。 本書では、かつて手を使って作業する人たちの雇用を脅かしてきたロボット化という現象が、「機械学習」の台頭により、ホワイトカラーやサービス・セクターの雇用まで脅かしているとしています。そして、翻訳技術や通信技術の発展が、言葉の壁や通信技術の制約を破り、海外人材の流入が容易になったことで、国内の低スキル労働者た

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          • 自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来

            どうも、犬井です。 今回紹介する本は、グナル・ハインゾーンの『自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来』(2008)です。この本は2006年に出版された『Soehne und Weltmacht: Terror im Aufstieg und Fall der Nationen』を邦訳した書です。 著者であるグナル・ハインゾーンはジェノサイド研究の第一人者であり、世界各地で頻発するテロの原因として、人口統計に見える「ユース・バルジ」(youth bulge)という現象

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            ダイナミック・ケイパビリティの企業理論

            どうも、犬井です。 今回紹介する本は、デイビット・J ・ティースの『ダイナミック・ケイパビリティの企業理論』(2019)です。 この本では、デイビット・ティースが提唱するダイナミック・ケイパビリティ理論について記述されており、その理論は、グローバリゼーションの進展などによって不確実性が高まった現代において、とりわけビジネスに関わる人は理解すべき理論であると思われます。 それでは以下で、簡単に内容をまとめていこうと思います。 * ダイナミック・ケイパビリティ 現在のビ

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            思想の英雄たち

            どうも、犬井です。 今回紹介する本は、西部邁(=1939〜2018)の『思想の英雄たち―保守の源流をたずねて』(2012)です。 本書は、近代化もしくは西洋化を成し遂げてきた日本が、近代西洋が率先してつくりだす世界状況に適応するのを専らにしてきたために、つまり、近代西欧のごく表面のみを写生してきたゆえに、近代西欧にはある、近代主義に根本から疑念を呈するという文化を欠いたまま、日本は近代化をしてしまったと論じています。そこで、エドマンド・バークやアレクシス・ド・トックヴィル

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            土着語の政治

            どうも、犬井です。 今回紹介する本は、ウィル・キムリッカの『土着語の政治:ナショナリズム・多文化主義・シティズンシップ』(2012)です。この本は2001年に出版された『Politics in the Vernacular: Nationalism, Multiculturalism and Citizenship』を邦訳した書です。 本書は、リベラリズムの観点から国家によるネイション形成を示すとともに、ネイション形成から生じるマイノリティの権利をいかに擁護し、それをリベ

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            リベラル再生宣言

            どうも、犬井です。 今回紹介する本は、マーク・リラの『リベラル再生宣言』です。この本は、2017年に出版された『The Once and Future Liberal: After Identity Politics』を邦訳した書です。 本書は、原著の題目からもわかる通り、”かつてのリベラル”と”未来のリベラル”を対象にしており、特定の集団ばかりに寄り添い、大多数の国民をないがしろにする「アイデンティティ・リベラリズム」を標榜する”今のリベラル”への落胆を明らかにしていま

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            いかにして問題をとくか

            どうも、犬井です。 今回紹介する本は、ジョージ・ポリア(=洪、1887〜1985)の『いかにして問題をとくか』(1975)です。この本は、1945年に出版された『How to Solve It 』を邦訳した書です。 本書は数学に携わる人にはもちろん、自然科学を教え、学ぶ人、さらには何か新しい創造の仕事に携わろうとする人に対しても、問題を解くにあたっての筋道を示してくれる書となっています。 それでは以下で、簡単に内容をまとめていこうと思います。 * 問題を解くための4

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            海洋国家日本の構想

            どうも、犬井です。 今回紹介する本は、高坂正堯(=1934〜1996)の『海洋国家日本の構想』(1965)です。本書は日本を代表する国際政治学者高坂正堯が、29歳から30歳の時に書いた7編の論文を収めた処女作です。今から55年前に出版されたものではあるものの、その内容は今なお色あせることがなく、一部に見られるその後の日本を見通すかのような先見性には唸るものがあります。 それでは以下で、簡単ではありますが内容をまとめていこうと思います。 * 現実主義者の平和論私は、中立

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            常識に還れ

            どうも、犬井です。 今回紹介する本は、福田恆存の『常識に還れ』(1960)です。この作品は、福田恆存が初めて政治に口を出した『平和論に対する疑問』(1954)に続く著書であり、「安保闘争」に対する知識人の態度を批判したものです。前作以上に政治的な色合いが強い本書は、福田恆存の政治観や政治的立場が明確に示されています。 それでは、以下で簡単に内容をまとめていこうと思います。 * 私の保守主義観私の生き方ないし考え方の根本は保守的であるが、自分を保守主義者だとは考えない。

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            人間の生き方、ものの考え方

            どうも、犬井です。 今回紹介する本は、福田恆存(=1912〜1994年)の『人間の生き方、ものの考え方 学生たちへの特別講義』(2015)です。本書は学生向けに書かれたものであるため、他の著書と比べても読みやすく、かつ、わかりやすい文体となっています。しかし、「自己と他者を区別しつつ、それを媒介しているものを己の足元に見つめること」という、福田恆存の思想の輪郭は読み取ることができます。 それでは以下で、簡単に内容をまとめていこうと思います。 * 知性の限界と感情感情論

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            はしごを外せ―蹴落とされる発展途上国

            どうも、犬井です。 今回紹介する本は、ハジュン・チャン の『はしごを外せ―蹴落とされる発展途上国』(2009)です。この本は、2002年に出版された『Kicking Away the Ladder: Development Strategy in Historical Perspective 』を邦訳した書です。 本書は、先進国の発展過程を歴史的事実をもとに分析することで、それが一般に考えられている自由至上主義経済とは反対のものであると看破し、先進国が自由至上主義経済を発

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            エネルギーと産業革命

            どうも、犬井です。 今回紹介する本は、E.A. リグリィの『エネルギーと産業革命―連続性・偶然・変化』(1991)です。この本は、1988年に出版された『Continuity, Chance and Change: The Character of the Industrial Revolution in England』を邦訳した書です。 本書は、アダム・スミスに代表される古典派経済学者たちが、誰一人としてそれ以降の経済成長を見通せなかったことを論点に据え、そこから、通

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            映画『ジョーカー』 ネオリベラルへの反逆

            どうも、犬井です。 遅まきながら、先日、映画『ジョーカー』を見ました。公開からすでに8ヶ月が経過しており、全く新鮮味はないですが、ネオリベ社会の俗悪さを徹底的に描き切った映画に、強烈なカタルシスを感じましたので、今回はこの作品の感想を記すことにしたいと思います。(なお、以下はネタバレを含みますので、映画をまだ見ていない方はご注意下さい。) 舞台は1970、80年代のニューヨークをモチーフ(=当時のNYは財政難の状況にあり、福祉の切り捨てを行なっていた)としたゴッサム・シテ

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            日本列島改造論

            どうも、犬井です。 今回紹介する本は、田中角栄元首相の『日本列島改造論』(1972)です。この本は、1968年にまとめられた「都市政策大綱」をもとにして書かれたものとなっています。田中元首相は、本書が出される翌月に自民党総裁選挙を控えており、したがって、これからの日本が取るべき政策とその根拠を示した本書は、実質的な公約の役割を果たしています。 それでは以下で、簡単に内容をまとめていこうと思います。 * 都市政策大綱の要点都市と農村の人たちがともに住みよく、生きがいのあ

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