見出し画像

父性と母性の違いを恨めしく思った(2)

肝心の長男が激変した

これは最初に「おいこら、いい加減にしろ!」と長男には言いたくもなった。夫が長男を担当するようになったら、長男の宿題のアウトプットが2倍に増えたのだ。

これではまるで母親だとダメで、父親だと出来たという話になる。あんなに大変な思いをしたのに、できるならもっと早くからやってくれれば良かったのにと思った。一体何が違うのかと訊いてみたら、父性と母性の違いだと長男が言うのだ。

私 :お父さんが管理したらうまくいったのはどうしてなの?

長男:管理じゃないよ、サポートしてもらってると思ってるよ。あと、お母さんは自信なくさなくていいんだよ。お母さんが本当は正しい所もあるんだよ。でも受験ってなった時には、父性の方がいいかもしれない。父性と母性にも長所と短所があって、受験のサポートは父性の方が良かったんだと思う。

管理という言葉を訂正し、サポートと言い直していたのは印象的だった。夫は塾からの連絡を受けた直後は多少長男に対して厳しさも見せていたが、実際に週末にサポートする時には絶対に叱らない、サポートすると決めてそれを徹底したのだそうだ。また細かく休憩を取らせたり、おやつを持っていって気分を乗せたり、甲斐甲斐しくやったと言っていた。

しかし、まさかここで父性と母性の話になるとは思いもしなかった。でもこの話をすると、夫からも、母性を求めたい相手が、父性の役割も果たそうとしたのが長男にはうまくいかなかった可能性はあると言われた。

父性と母性だけで全てが説明されるわけではないとは思う。同じ時間管理でも、夫は一旦すべての宿題を小さなホワイトボードに書き出し、各課題に必要な時間を長男から聞き出し、その割り振りを考えて、30分刻みくらいで予定を組んでいた。その後、進捗によって順番を組み替えたり、ペースが落ちているとか、順調だとかをアドバイスしていた。何より、夫はこれならできると長男に思わせることが出来ていたのだ。

長男が各課題の所要時間を示して、その時間通りやらせるというところまでは私のやり方と違いはないが、夫は勉強、食事、休憩(読書や科学実験動画視聴)、オンライン英会話も含めた予定表を書き出していた。言ってみれば長男は週末これ以外のことができないほどの(外に一歩も出ない)スケジュールになっている。

(ここまでぎゅうぎゅう詰めのスケジュールでやっていることについての私の思いはぐっとこらえることにする。長男はこれでやりやすくなっているし、先生からも叱られることが減って精神的にも確かに安定しているように見える。)

この方法は、長男にとって見通しが立てやすくなったのだと思う。今やっておかないと後ろが大変になるということも分かりやすくなったことで、緊張感も生まれたのではないかと思う。

夫は時間を意識させるように努めるのみで、勉強をついて見るということはしていない。勉強している最中は別室で用事をしたり家事をしている。予定の変わり目に適宜声をかけている感じだ。

こうして、5月後半くらいから、毎週末の課題報告で長男は塾から褒められるようになる。ついには「覚醒した」とまで言われるようになった。

(3)につづく