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家事と育児を工夫する(2)

お料理のお姉さんに週1回来てもらう

料理のアウトソースを思いついたのは第三子の長女が生まれて間もない頃だった。子供が一人増えるたび、家事のどこかで工夫をしないといけないと思っていたが、中でも一番時間がかかっていたのが料理だった。

アウトソースに行き着く迄には出来合いのものを買ったり、宅配食材なども試したが、効果が今一つだったのと、毎日食べたい味とも少し違っていた。

実は、誰かに来てもらって料理を作ってもらうことについては、言い出すのに勇気が必要だった。理由は、自身の母や夫も同じく前向きに捉えてくれるか自信がなかったからだ。

後になって思えば考えすぎで、母からも「働いてるし、子供3人いるし、いいんじゃない?」とあっさり言ってもらえた事を思うと、変に考えすぎていた事の方が申し訳ないくらいだった。母にそれとなく伝えたのは依頼開始から数ヶ月が経った頃だったと思うが、心が軽くなった後に思うのは、私の中で料理をアウトソースするという行為が、母のあり方を否定することになるのではと無意識に気にしていたのだと思う。

夫に対しては、贅沢と言われるか、自分たちでそれくらいやるべきと言われるか、その辺りを気にしていたような気がするが、特に何か言われたような記憶がないため、何も言われなかったのだと思う。今現在、夫は食材の買い出しも率先してやってくれている。

最初に夫に提案した際には、自分も利用は迷っているが、まずはお試しで利用する感じで、そんなに前のめりではないという体で話を持ちかけていた。

しかし、初めて我が家で調理いただいたその日、できあがったお料理と味を前に、私の心は迷い無く決まっていた。この人は本物だ、今ここで、この人を引き留めなくてはいけない。真剣な顔で、「毎週来て頂けませんか?」とお願いしていた。

(時々自分でも意外なほどに即決する。そういう時は大抵直感で、それまで他の人の意見が気になっていたのが嘘のよう。)

実はこの方はご近所に住むプロの料理人である。レストランで夜に仕事をされていたが、日中に少し時間があるということで、相談させてもらっていた。

この方をお料理のお姉さんと呼ぶことにするが、プロの腕は凄く、時間あたりの作る量が多く、何より、美味しいことこの上ない。少し塩分控えめでお願いしているが、この辺も調節がうまい。あとはレパートリーの多さと、創造性、段取り力が圧巻なのだ。

加えて助かるのが、事前の打ち合わせなどが不要で、近くのスーパーで見切り品や、その時手に入った食材を適当な量で買っておけば、調節して使い切ってくれることである。

一回お願いすると、5人で4、5日食べられる位のお料理ができあがる。品数にして12~15品くらいだ。

自分たちでは作れない料理もたくさん作ってくれる。エスニックから台湾料理、イタリアンまで何でもこいだ。実家から大根葉が届いたが使ってもらえないだろうかとお願いしたら、アランチーニが出てきた。絶品だった。

何でも作れるし、いつも同じ食材ばかりでは作る方も飽きるだろうと、自分たちでは調理の仕方が分らないような食材も買ってみたりするが、うまく仕上げてくれて、毎回こんな料理があるんだと新しい発見がある。

仕事をする上で、常に期待値を上回る所も素晴らしいなと、働く姿勢にも感銘を受けている。発想力、創造性、時間管理を間近で見ていると、本当に尊敬してしまう。長女が産まれてから、毎週来て頂けている事に感謝である。

子供達にとっても良かった

お姉さんには週1回、3時間でお越し頂いているが、現在は調理1.5時間、子供3人に教えるのに1.5時間の計3時間でお願いしている。

ある時から子供達がお姉さんがお料理する姿をずっと後ろから見るようになり、質問したり、興味がある様子だったため、子供に教えることも可能かと聞いてみたら、即答でOKしてもらえ、以降、毎週我が家の子供達はお姉さんに教えてもらっている。最初は長続きするか不明だったが、3人とも毎週楽しみで仕方ないようだ。

それで、例えば長男だが、魚の三枚下ろしは以前からやっていたのだが、お姉さんに教えてもらってからは出刃包丁を買い、暇さえあればいろんな魚の下ろし方を動画で見たり、買ってきた魚を捌いて調理している。

また卵焼きもプロの作り方を知ってしまうと、子供達の目指すレベルも最初からそこになる。

それで凄いのが、次男など毎日学校から帰ってくると、「卵焼き作りたい」と言って作るし、旅行から数日ぶりに家に戻った時には、「数日作れてなかったから作りたい!」と言って、新幹線に何時間も乗って帰宅してヘトヘトなのに、すごい意欲なのだ。

長男も、現在朝の6時45分に自宅を出て学校に行く生活をしているが、まだ6時半で時間に余裕があると、「10分あれば卵焼きが作れる」と言って作り始めるのである。卵焼きにそんなに魅了されるんだと、驚いている。

長女もハンバーグを捏ねさせてもらったり、親だとまだ早いと思ってやらないようなことも挑戦させてもらっている。

お姉さんからも子供達の意欲を褒められ、それは親が褒めたり喜ぶからだと思うと言われたのだが、たぶん3人とも親の反応とは関係なく自分達のやりたい事になっている。それは何よりお姉さんの教え方が上手い上にめちゃくちゃ褒めてくれるからだと思う。

最初は家事の負担軽減が目的だったが、子供達にとっても財産になっていると思う。家族みんながお姉さんが来る日を楽しみにし、揃って夕飯、そして普段も料理に挑戦する時間的余裕があったり、家事に追われ過ぎずにすんでいて、お姉さんの存在はとても大きい。

(そしてちょっとだけ、即決した自分、偉いぞと思う。)

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