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兄を見て、次男は悩んだ(2)

同じ先生とは思えないほど

次男の先生は、次男にとってはとても良い先生で、次男も先生が大好きだった。しかし、同じクラスに腕白なT君という子がいて、その子への対応を見ていると、こりゃ大変だと思うこともあった。

T君は授業中も先に進んでしまうことがあるのだが、そうすると先生が、「はい、フライイング~!」と言って冷たかった。これは参観日に見た光景だ。よくできたね、でもちょっとだけ待っててね、という感じはない。

T君は次男と大の仲良しだったこともあり様子はよく聞いていたのだが、とにかく先生からよく叱られていた。私も何度か目撃していて、ある日教室をのぞいたらT君が立ち上がって嬉しそうに「あ!ぼーぼ(次男)のお母さんだ!」と言ったのだが、そうしたら担任の先生がつかつかとT君のところに行って仁王立ちになり、「今は何の時間ですか!」と怒っていた。

少々胸が痛んだ。T君のお母さんとも知り合いだから声をかけてみたら、案の定、インターナショナルスクールに転校させようかと思ったことがあったと言っていた。

T君は少し我が家の長男に似ている。長男もふとした時に、「あいつ、俺と似てんだよね」と言ったことがある。T君のお兄ちゃんが長男と同級生でこれまた大の仲良しだから兄弟同士よく知っている関係だ。

次男の先生は、T君が授業中に余計なことをしたと思えば怒るが、我が家の次男が時々立ち歩いていることについては、「もしかしたら授業が分からないとか、板書が間に合わないことを隠すために、立ち歩いているのかもしれず、だとしたら可愛そうなので、なんとかしてあげたいと思うんです。このまま変に悪目立ちするようなことが無いようにしてあげたいんです。」と言っていた。

この受け止め方の違いは大きい。先生がどう受け止めるかで家庭の負担感には雲泥の差が出ることを思う時、我が家は複雑な気持ちで聞いていたのだった。

実は次男には、兄のような破天荒な所が少しくらいあっても良いのにと思っていた。板書でマス目の位置を正確に守ろうとするあまり、板書が遅れるほどの子だ。少々型にはまりすぎてはいないかと心配していたのだった。

そんな話をした所、先生が次男について心配していることが一つあると、それは兄の存在が次男に影を落とし始めているかもしれないということだった。

(3)につづく