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保健所職員だった話②〜コロナ対応大フィーバー〜

こんにちは。はれなです。

前回はコロナ草創期のお話をしました。

今回は、コロナが大流行したことに伴うコロナ対応業務の大フィーバー具合をお届けしようと思います。

初めてのクラスター対応

就職して2年目の初夏だったか、みんな半袖になってきた頃、当時私が在籍していた保健所の管轄地域でもクラスター(ざっくり言うと5人以上の集団感染)が発生しました。それまでもすれすれクラスターにはならない人数の集団感染はありましたが、クラスターと名付けられるとやっぱりちょっと構えてしまいます。

業務内容自体が特別変わる訳ではありませんが、やはり関わる人数が多くなるとそれだけ対応も急激に増えますし、関連する機関も増えてきて、どうにも業務は逼迫するし、みんなの余裕もなくなっていきます。そのなんとも言えない緊張感溢れる現場の雰囲気、就職して2年目で初めてのクラスターだったこともあり今でもよく覚えています。

保健所でのPCR検査

今は薬局で簡単に検査キットが手に入るようになりましたが、コロナ禍は検査事情も今とは全く違いました。体験されたことのある方はご存知かもしれませんが、最初の頃は保健所でも検査を行なっていました。

とはいってもさすがに全部が全部ということではなくて、いわゆる濃厚接触者やそれに準ずる接触のある方を対象に、無症状の場合は保健所に公共交通機関を利用せずに足を運んでもらい、医師免許をもっている職員が検体を採取していました。そしてその検体を専門の検査機関へ送り、その結果は保健所から連絡を入れるという形でした。クラスターが発生するとこの対応規模がどんと跳ね上がりました。

で、文学部卒事務職の私がどの部分に携わっていたかというと、医師免許が必要なところ以外は全部経験済みです。なにせ業務逼迫状態、医療職の職員は専門知識を元にクラスター現場の指示出しなども担っていました。さすがに毎回全部ということではありませんが、N95マスクやガウンを着用して検査に来た方を案内したり、検査機関からのよくわからない結果通知をみてとにかく陽性か陰性か確認して連絡を入れたり、採取した検体を梱包してクーラーボックスにつめて検査機関に運んだり、専門職じゃなくてもできることはみんなで代わりばんこに必死にこなしました。

疫学調査

みんなでこなしたのは検査対応だけではありません。検査をすると自ずと結果が出て、ちらほらと陽性者も出てきます。そうなるとその陽性者の方に疫学調査といって直近の行動歴などを詳しく聞き取り調査をする必要がありました。もちろん、保健所検査での陽性者だけでなくて、医療機関の検査で陽性になる方も含めて、管轄地域にお住まいの陽性者の疫学調査すべてを行うことになります。

陽性者が少ない場合は専門職の職員が優先して調査を行なっていましたが、正直そうも言ってられないくらいどんどんと陽性者の数が右肩上がりで増えていきます。そうなると、もう専門職とかそんなこといってられなくて、調査票は必要な項目が全て記載されていたので、とにかくみんなで手分けして電話で項目全てを聞き取って、専門職の人に確認してもらって、足りないところはまた電話できいて、みたいな、とんでもなくアナログなやり方で初めの頃はてんやわんやでした。

そのうち数が多くてその日のうちに処理できない日もでできて、でもそれは全国的に同じような状況で段々とやり方が整備されていきました。それでも足りない人手は他の部署から応援職員が派遣されるようになったり、それはそれでさらなる混乱があったりするのですが、それはまた別の機会にお話します。

ちなみに、私が保健所にいる間はアナログだけど段々簡素化していくくらいのものでしたが、私が異動してからはおそらく陽性者自身がネットで回答したらほぼおわりくらいまでになっていたと思います。

健康観察

健康観察、初期のこの業務が一番やっていて不安でした。他の業務は自分が関わった後と次々に他の職員が調査やら検査やらとにかくいろんな形で関わっていくけれど、健康観察はすでに陽性になって自宅療養されている方への健康状態の確認連絡。どの業務よりも電話の向こうの命への責任を感じながら行なっていました。

軽症の患者さんの場合は、項目を聞きとってサクッとおわるのですが、かなり重症だけれど特別リスクが高くないから自宅療養という方がけっこういて、とても辛そうなのに療養先が用意できないのが心苦しかったし、声もなんとか出せるくらいの状態で健康観察に対応してくださっていたり、患者さんの命を守るための健康観察だけれど、ただの事務職員の電話でいいのか?ととてもモヤモヤしながら対応していました。

そんな中で、時々電話の向こうで意識を失って倒れたり、さっき電話で話したのにしばらくして救急搬送された患者さんがいたり、たぶん医療職の職員が電話していても起こることは起こるんだけど…。そうこうしているうちに、臨時の看護師さん保健師さん大量雇用が始まって、なんとかその業務からは手を引けたけど、本当に心が痛かったです。


つらつらといっぱい書いてしまいましたが、コロナ対応業務の大フィーバー具合と心の内をお伝えしてみました。次回は、今回の業務の隙間にある鳴り止まない電話対応についてお届けします。

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