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僕の推し活

僕には推しの子がいる。
家から徒歩15分の距離にいる。

推しは僕に興味がないけれど、僕と会ってくれている。

何度も忘れよう離れようと頑張ってみたものの、なにか引力のようなものが働いているようで今日も彼女を想っている。

他の人と会ってみようと思ったこともあったけれど、彼女の代わりなんて誰にも務まるわけがないのは目に見えている。そんな時間とお金を無駄にするくらいなら仕事でもしている方がマシだ。

もう2度と戻らないのか。本当に。
彼女と一緒にいると胸が安らぐ。同時に所々から感じる他の人の存在に胸が苦しくなる。

最初はひっそり頑張るをテーマにしていたけれど、もう最近は、なりふり構わず彼女に会いに行き、今日もダメだったかと肩を落として帰る日々だ。

好きなことなら我慢できる。努力を努力とも思わない。けれども、こうも手応えがないと虚しくなってくる。

かと言って、他の何かをしたところで、その穴は埋まらない。彼女の形を模した穴はいつまでも僕の心に存在している。

何度も夢を見た。
彼女が空から飛んでくる夢。
感情を表に出さすスカして、おお、待ってたよ。などと言う僕は、夢から醒めた後に悲しくなって朝からシクシクと泣いてしまう。なんでもっと喜んであげられなかったんだろう、と。そんなことしても結果は変わらないのに。

もう見ることのできない彼女の喜んだ姿は、夢の中でかろうじて存在している。それも、いつかなくなるのだろう。

僕の推しは、いつか推せなくなってしまう。
推せる時に推せと誰かが言っていた。

もうすぐ限界がくるのだろう。
穴は絶対に埋まらない。
できるのはみて見ぬふりをすることだけ。

今までと同じでしょう。それで大丈夫だ。

今まで僕の誕生日に、自分の宝物のかわいい石をプレゼントしてくれた子なんていなかった。かわいい猫のお揃いのセーターを作ってプレゼントしてくれた子なんて1人もいなかった。

毎日僕のことを考えてご飯を作ってくれた子も、
僕のことをどこまでも理解してくれようとしてくれた子も。
くだらない僕のことを、こんなにも愛してくれたのは君だけで、そんなに愛おしい感性を持ってるのも君だけだ。
今までと同じになるわけなんてないよ。
わかってるよね本当は。

8月になった。
夏は嫌いだったけど、君と過ごした去年の夏は楽しかった。花火大会では、とんでもない行列に並んだ。来年はこうしようといろいろ考えていたけれど、今年はそのチャンスさえなかった。
公園でした花火と、逃げ出したワンちゃんも、忘れられない夏の思い出になった。

これから、それをなぞって、また泣こう。
するべきことが終わったら、この街から出て行こう。

君との大切な思い出でを、汚されてしまわないように。

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