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夏が来ると、過去の戦争がよぎる

お盆でね、先日、遅ればせながら墓参りしてきた。
書き書きしているだけの仕事なら融通がつくけど、どうにもそれだけじゃあ食えんので勤めに出ながらというスタイルだから、いささか不自由である。いつまでバレずに出来るだろう。バレたら懲戒かな。
さておき、お墓を綺麗にしたいのだけど、天気がこれではねぇ。

夏が来ると、この映画を観たくなるわけさ。

でね、戦時下の日常というものを色々と認識していく。
このスパイスが、連載小説「満洲」の養分みたいなものなんだ。

日常があるからこそ、削られたときのショッキングさは例えようもない。

昭和20年8月7日まで、満洲国は日本じゃないから、戦争の臭いは全くなかった。一夜明けて、凄惨な修羅場と化した。非戦闘員が主体の満洲が、蹂躙されていった。
きっと、攻め込んできたロスケは収穫心地だっただろう。


「この世界の片隅に」。
映画の原作はもっと日常に溢れていたけど、救いがあるとしたら、広島ではなく呉だったということだけだろう。焦土にならなかった分、すずさんは何かを取り戻すこともきっと早かった。引き摺られ立ち止まる人波から、誰よりも早く走り出せたに違いない。

自分で書いておきながら……「満洲」には最後まで救いがない。
悲劇がはじまる前日で物語を終えるのは当初の予定。なぜなら、その先を、とても描く覚悟がないからだ。
いつもよりも重い、気怠い、夏をすごす。
お盆が気休めにもならなかったのは、背負う荷が重い所為だろうか。