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嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~三十六の歌~

《へろへろ≫ 原作:清原深養父
昼間は暑いからな、ちょっとしんどい。
せやし夏は夜やで! 宵から起き出して来て
朝ごはんやら、夕ごはんやら、わけわからんもん食べて……。 
気が向いたら水風呂や。ひゃっこいな、これが。
そないこないしてるうちに月がどんどん上がりよる。
庭に床机持ち出してエダマメと冷えたビール。う~ッ、たまらんな!
「お月さん、下りて来ぃな、宿かしたるさかい、朝まで一緒に一杯やろ!」
(注)へろへろ=弱々しく威力のないさま。せやし=だから。ひゃっこい=つめたい。

定家「もう夏も終わりや。虫の声もしてるこの時期に、この歌は季節遅れやないか」
蓮生「なぁ~に、まだ、セミ鳴いてるで。まだまだ、夏や。夏のよは まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ。お月さんとシンポジウムしてるな、このおっさん 」
定家「彼岸も過ぎたのに。まだまだ、寝苦しい」
蓮生「地球温暖化や。しゃーない、わしらもエダマメと冷えたビールで、シンポジウムとしゃれこむか」
*シンポジウムの語源は古代ギリシャ語のシュンポシオン(SYMPOSION)です。その言葉は「饗宴」を意味しており、夕食後、酒を片手に議論を愉しんいたようですね。

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