考える:教育学者「ピアジェ」と「ヴィゴツキー」,そして「ブルーナー」。構成主義(Constructivism)を考える(2,115文字)
今回は,日本では発達心理学者としてよく知られる,「ピアジェ」と「ヴィゴツキー」,そして「ブルーナー」について,出来る限りわかりやすく書いてみました。
※ 通常みられるような発達心理学者としての側面ではなく,教育心理学者(教育哲学者)としての側面を強調しつつ,オリジナルの小論として記述しています
※ 今回はよみやすく,そしてわかりやすくと考え,それぞれの引用を行っていません。正確な情報はそれぞれの原著,及びしかるべき書籍を読まれることをお勧めいたします
教育(Education)は,構成主義(Constructivism)という考え方に基づいてデザインされることが多くあります。構成主義は認識論(Epistemology)に基づいて考えられますが,認識論は知の哲学ということも出来るでしょう。
認識論の中心とされる考え方は,次のように言うことが出来るかもしれません。
自然(nature)を元に哲学的に分析し(philosofical analysis),信じるに足る(justified belief)知識(knowledge)を導き出し(arguments),それらを調べ,そして記述し,さらに構成(structure)することで信じるに足る(justified belief)知識を導き出す。また,それらを常に疑う(skeptical)ことにより,新たな問題(problems)を導き出し,それらの可能性(possible)をより強固なものとする一連のプロセス。
つまり,私たちが知る世界を,考えることで分析して知識を得た上で,その知識を関連付け,何度も議論することでより実際的な知識へと変化させること。ということが出来るかもしれません。
さらに,これらにおいて重要なことは,観察し,考え,分析し,試すことだと言うことが出来るかもしれません。
構成主義はこのように認識論に基づき,得られた知見を知識として,それらを構成し,統合としての知識を目指します。この場合の統合とは,知識をひとつの構造として,それに知見を組み合わせ,全体としての知識を作り上げる考え方ともいえるでしょう。
その構成と統合について,知見を整理し,方法を検討したのが,個人においてはピアジェであり,社会的な側面を検討したヴィゴツキーであり,そしてそれらを整理し統合したのがブルーナーであるということが出来るかもしれません。
まず,ピアジェについて考えてみます。ピアジェは発達心理学者として日本では有名です。しかし,発達としてのピアジェの知見はどちらかと言えば論述的であり,また,固定された一定の社会を背景としているため,その知見は批判される傾向にあると言えます。
しかし,ピアジェの学習理論は構成主義の立場として功績を残しています。個人の知識の構成を,遊びを通じた中に発見したため,児童心理学において多く引用されますが,個人の内面における個人的知識を構成するその考察は現在の学習理論でも多く応用されています。
ピアジェを批判し,その個人の外縁にある社会に目を向け,教授(この場合は教える人)の存在を明確としたうえで,社会的に人の知識は構成されるとしたのがヴィゴツキーです。ヴィゴツキーは日本においては発達の最近接領域を発見した発達心理学者として有名ですが,多くの場合その知識は自然科学に基づくとされ,科学的な知識こそが知識の完成とするような論述にも見られます。しかし,その知識が社会的に構成されるプロセスは観察により根拠づけられた上で,社会的に人の知識は発達するということを根拠づけています。
ヴィゴツキーの社会的構成理論を拡張したうえで,その学習理論を用いた教授方について研究したのがブルーナーです。ブルーナーは認知科学者として日本では有名ですが,教育心理学者としても認知科学を応用した教育心理学者として認識されています。
ブルーナーは足場かけ理論(Instructional scaffolding)を提唱し,その社会的教授において,それをサポートすることにより教授可能性を向上させました。ZPD(発達の最近接領域)にあると考えられる学習者に対して,サポートを行うことにより,その知識獲得を援助することで目的を達成する学習理論を完成させた理論ということが出来るでしょう。
構成主義はこのようにして,現在の学習理論を形作るに至りました。
すなわち,個人の活動の中から知識は構成(知識の獲得)され,さらに社会的に(教授により)それらは社会構成化(社会的知識への変化)され,その学習者の発達,もしくはZPD(発達の最近接領域)を援助(教授,もしくは援助理論)する。という流れを持つ理論です。
これらの中心にあるのは構成主義であり,その知識に対する哲学こそがこれらを導いているのかもしれませんね。
今回もお読みいただきありがとうございました。出来る限りわかりやすく書いてみたつもりですが,いかがでしたでしょうか。
また,よろしくお願いいたします。
※記事中にある情報は2022年12月6日現在です。
※記事は個人の意見及び主観です。正確にはそれぞれの引用元の情報や,専門の書籍などをご参照ください。
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