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「ことば」と「猫」と,そして「書く」ということ。(コラム)

「ことば」,言葉は,わたしたちの気持ちを伝える。思いを伝える。知識を,出来事を伝えてくれる。

だれだろう,あれはなんだろう。よくわからない何か。代名詞で伝えられる,よくわからないなにか。論文などでは代名詞はできる限り使わない,という約束事がある。それ,あれ,などと書いても,わからなくなるからだ。

堅く言えば,猫は,哺乳類であり,ネコ科,そして三毛やペルシャなどの種類があり,オス,メス,があり,年齢がある。声はさまざまで,顔もそれぞれ違う。甘え方も違うし,好きな食べ物も違う。これら全てをまとめて「猫」とよんでいる。

猫,と書きさえすれば,それはなんだかよくわかる何かなのだが,実際に読んだ人たちが思い浮かべる猫は,白かったり,黒かったりする。

猫,と書いたとしましょう。読んだ人は今までに出会った猫を思い出すかもしれない。さらに,猫に説明書きを入れてみましょう。

白い猫。

猫は白くなった。しろい,ねこ。

さらに説明してみましょうか。年老いた,オスの,か細い声で話す猫。と書いてみる。日向ぼっこをして,座布団の上でゴロゴロ。情景が挿入される。縁側だろう。そして,縁側の向こうには柿の木がある。柿はもう熟していて,もいだらおいしそうだ。猫は関係なく,気持ちよさそうに眠っている。

情景は細かく,そして映し出される。何に映し出されるのだろうか。僕の心,あなたの心。ただ,それらは多分,それでもまだまだ違うのだろう。

猫に話しかけてみる。なんと話しかけるだろうか。

その声が聞こえる時,文は書けるのかもしれない。

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