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【読書感想】2度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む4 欲沈みの商人
こんにちは。
今回の投稿は『二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む4 欲沈みの商人』の読書感想です。致命的なネタバレが無いように書きます。
◆こんな方におすすめです
・過激な復讐モノを探している
・理不尽に大切なモノを奪われ、やさぐれている
・美少女は狂ってても好き
・グロ描写にはそこそこ耐性がある
・昏い喜びを味わいたい
1.4巻ってどんな話?
3巻で新たなる共犯者、シュリアをスカウトし、ユーミスへの復讐を完遂した2度目の勇者ご一行。
4巻で復讐相手に定めるは、商人のグロンド・ゴールドット。
彼は魔術師のユーミスとは違ってお金が力なのですが、そのお金がグロンド自身を滅ぼすように仕向ける復讐が、インテリめいた趣向になっています。
海人君が一周目で助けられなかった人を救うという、心温まる展開もありますよ!
商人グロンドが戦えない代わりに、バトルを担当するのは新キャラの男の娘、ノノリックと、執事フェグナーです。
一冊でグロンドへの復讐は完遂しますので、どうぞお楽しみ下さい。
2.注意する所は?
性的な描写がちょっぴりあるところです。
特にノノリック! あの人が性的な意味でも暴力的な意味でも、この小説の対象年齢を上げてしまっております。
……まぁ、最初から全年齢対象ではないですが。
3.4巻の見所
・じわじわ追い詰める復讐
グロンドは「金が全て! 金こそ力!」と信じている人です。
そんな彼でも商人ですから、お金の次に信用を大切にしてきたのですが、海人君はそんなグロンドの信用を潰すことで、じわじわと追い詰めてゆきます。
我々の世界で言うところの「インサイダー取引をするように仕向けた」のですが、このような手段を思いつくあたり、海人君が現代日本の学生であった事を意識させる、面白い復讐になっています。
・信じ合っていないグロンドとフェグナー
グロンドの傍らには、フェグナー・リールットという執事がいます。
グロンドの父親にスカウトされた古株で、金しか信じないグロンドも彼の事だけは重用しています。
フェグナーの方も、幼い頃から面倒を見てきたグロンドを「坊ちゃん」と呼んで、商会を大きくする為なら手段を選ばない彼を心配しているようです。
一見すると、復讐が彼らの信頼関係を壊してしまったかのような印象を受けるのですが、読み進めるとそれは違うと分かります。
彼らの辿った末路には「信頼し合っているように見えて、実は自分の事しか考えてなかった」という心の内が、実にいい皮肉に思えます。
・グロンドの動機
ユーミスが裏切った動機は「想い人と結ばれるための実績作り」でした。
しかし、グロンドの動機は恐怖ではないかと考えています。
表向きは「勇者との関わりによって得ていた利益が減る事が起こったから」――つまり、お金の為に見えるのですが……。
その真意は「勇者には金の力が通用しなくて怖いから」なのではないでしょうか。
何せ、21世紀の日本で育った海人君には衣食住で困った経験が無く、お金儲けにはあまり興味を示しません。
グロンドの全てである『お金』よりも、『日本に帰って家族や友達と再会する』方が何倍も大事だったのです。
始末に負えないことに、海人君は勇者として努力して、立ちふさがる敵を倒してゆきます。勇者パーティの一員だったグロンドには、その強さを目の当たりにするしかありませんでした。
『金』という最大の暴力が通じない相手が、自分から大切な『金』を奪おうとする――これ以上の恐怖はないでしょう。
海人君はグロンドを仲間と思い信頼していましたが、グロンドには同じことは出来なかったのでしょう。
・作ってしまった化け物
さてさて、そんなグロンドにも最期がやってきます。
今まで自分が他人にしてきたように、お金に踊らされ、破滅する断末魔が。
グロンドの漏らした「化け物だ……」という言葉に、海人君はこう返します。
「俺を化け物にしたのはお前達だろ?」
この時のグロンドの顔と心情を想像するだけでゾクゾクします。
自らの行いが化け物を作り、それ故に決して復讐からは逃げられないという絶望!
私が復讐モノに求めているのは、自業自得の悟りなのです。
ごちそう様でした!
5.まとめ
・『二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む』4巻は、グロンドの悪事からインテリ復讐まで一冊で読めてスッキリするよ!
・新キャラノノリックとフェグナー対勇者陣営のバトルも熱いよ!
・海人君が一周目で助けられなかった人を救う場面ではホロリとくるよ!
長いことお読み頂きありがとうございました。
あなたが素敵な本と出会えますように。
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