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古本屋になりたい:9 本が好きでも眠くなる

 読書の姿勢が定まらない。

 首をコキコキしたり、座り直したり、本を持つ腕を替えたり、じっとしていられない。
 自分だけが知らない、長く読んでいても体や目が疲れないグッズが既に世の中に存在するのではないかと、読んでいる本をスマートフォンに持ち替えて、Amazonを渉猟し始めたりする。

 快適な読書姿勢を探して、部屋をあちこちうろつく。

 ベッドに寝転びながら読んでいると、当然ながら寝てしまう。
 背中に枕やクッションを宛てがって、ベッドに足を伸ばして読んでいても、すぐに眠くなって、やはり寝てしまう。

 カフェで、硬めの椅子に座り、テーブルに肘や腕を置いて読んでいる時が、比較的集中して読めている気がする。
 足を伸ばしていると眠くなりやすいとどこかで聞いたので、家でもテーブルと椅子で読んでみるが、いつの間にか立ち上がってソファに移動したり、座卓に本を置いて畳に座って読んでいたりする。

 そしてまたしばらくすると、眠くなってしまう。

 本を読んでいると眠くなる、と話したら、本が好きやのに眠くなるの?と笑われてしまった。

 好きなことをしているなら、楽しいはずで、眠くなるわけがない。
 確かにその通りだ。

 ページをめくる手が止まらない!
 一気読み必至!

 徹夜本なんていう言葉もある。

 世の中、みんなそんなに興奮して本を読んでいるのだろうか。

 読書は食事に似ていると思う。
 生きていくために必要で、栄養になって、好き嫌いがあって、食わず嫌いがある。
 子供の頃は苦手だったものが食べられるようになる。
 苦手だと思っていたけれど、勧められて挑戦してみたら、意外といけたりする。
 進む時と、なんだか進まない時がある。
 和食も好きだけど、外国の料理も好きだ。
 寝る前に刺激の強いものをとると、眠れない。

 そして、満腹になると眠くなる。

 気持ちが満たされて、リラックスしているということだろう。本を読んで眠くなるのは、生理現象なのだ。

 脳内にページを投影して読めるようになれば、首が痛いとか肩が凝るとか言わないで、読書が進むようになるだろうなあ、と一瞬思ったが、何だかとても眠くなりそうな読書法だ。
 たぶん、目を瞑って読むから。

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