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記憶の秘密:知識を結びつける学習法

「こんなに覚えられるわけがない!」
薬剤師国家試験の勉強中、何度もこう叫びたくなったことを覚えています。まるでエベレストのようにそびえる膨大な量の知識。テキストにして9冊、正直、初めは途方に暮れました。しかし、その山の頂に立つために必要なのは、単なる暗記力ではなく、記憶力の正しい使い方でした。

記憶力は一般的に「良い」か「悪い」かで語られることが多いですが、実際のところ、人間の記憶容量は驚くほど膨大であることが科学的に示されています。特に、関連性のある情報や興味を持っている内容に関しては、驚異的な量を覚えることができると言われています。

脳科学の研究によれば、人間の短期記憶は「7±2個」の情報単位(チャンク)しか同時に処理できないとされています。しかし一方で、長期記憶の容量はほぼ無限であるとも言われています。情報を整理し、関連付け、反復することで、膨大な情報を長期間にわたって保持する能力があるのです。

また例えば、子供の頃にポケモンや遊戯王カードの情報を簡単に覚えられた経験がある人は多いでしょう。これらは何よりも興味があったからこそ、楽に覚えられたのです。つまり、辛い暗記の勉強でも、興味を持って関連付けて学ぶことができれば、効率よく学習できるということです。

薬剤師国家試験のように膨大な知識を必要とする試験でも、この方法を取り入れることで、より効果的に学習を進めることができると考えられます。興味を持ち、情報を関連付けて整理し、繰り返し学ぶことで、記憶力の限界を超えることが可能です。このように、学習の工夫次第で、誰もが自分の記憶力を最大限に活用できるのです。

私は、医薬品の一般名(成分名)と販売名を関連付けて覚える方法を実践していました。試験では医薬品の一般名しか出題されませんが、現場の処方箋では販売名が主に使われます(現在は一般名処方も増えていますが)。そのため、一般名と販売名を関連付けて覚えることで、実習で得た実際の使用シーンとテキストの内容が結びつき、記憶の定着が促進されるのです。

この一見無駄に思える「余分に覚える」という作業が、実は学習の近道でした。関連付けを行うことで、より深く理解し、実践的な知識を身に付けることができます。さらに、医薬品の販売名には製薬企業のその薬に対する思いなどが詰まっており、それを知ることで愛着も興味も湧いてきます。医薬品のインタビューフォームなどで名前の由来を調べるのも非常に面白いものです。

勉強が得意ではなく、特にテキストの文字情報だけでは深く理解することに苦手意識がある私でも、実習を真面目に経験し、実際の医療現場での体験と関連付けて学習することで、模試などの成績を向上させることができました。この経験から、具体的な体験と結びつけることで記憶が強化され、実践的な知識が身に付くことを実感しました。

記憶力は単なる暗記力ではなく、関連付ける力です。この原理を活かせば薬剤師国家試験に限らず、あらゆる学習において、効率的かつ効果的に知識を習得することが可能です。会社員になってもこの世界は日々勉強なので興味をもって知見を広げたいです。

当時はこの原理を理解しておらず、感覚的に正しいと思い取り組んでいただけでした。しかし、今回、過去の経験を振り返り、noteにアウトプットすることでようやく整理することができました。


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