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日本暴力団 組長(1969)

日本暴力団 組長(1969、東映、96分)
●監督:深作欣二
●出演:鶴田浩二、若山富三郎、菅原文太、安藤昇、水島道太郎、内田良平、中原早苗、河津清三郎、内田朝雄、山本麟一、加藤嘉、室田日出男、曽根晴美、一色美奈


戦後から拡大してきた関西の暴力団・淡野組が東進していく中で各地で起こる代理戦争をストーリーの基盤に、横浜を拠点とする浜中組の代貸・塚本(鶴田浩二)を主役としたヤクザ映画。

まず日本の暴力団の組長を描いたというこの映画の題名に『日本暴力団 組長』という元も子もないくらいの直球さが良い。

木屋町事件(死亡1 重傷3)
若松事件(死亡5 重傷16)

のようにテロップを出しつつ各地の代理戦争の状況経過を映していく感じもドライで良い。

その中で大場(安藤昇)の腕がボトリと切り落とされる場面が一瞬映るが、それが後々また登場してくる。

浜中組が淡野組の傘下に入ると、敵対する関東連合会は桜田組を引き入れて浜中組と抗争させることになる。

この一連の流れでダイナマイトで殺された浜中組・組長の通夜、告別式のシーンがしっかり撮られているが、仁義を大事にするヤクザ映画にとってはこのような冠婚葬祭も重要な要素なのだろう。

塚本が落とし前をつけることを決意したシーンで鹿威しがこれでもかとポーン!ポポーン!と鳴り響くシーンと合わせて、外国人が見たら不思議なものに映るのだろうか。

浜中組の代わりに新たな弾除けとして淡野組と手を組んだ北竜会と桜田組の抗争は激化していく。

ヤク中の北竜会の組長・宮原(若山富三郎)だが、男気のある男として描かれており、「お前の顔を切った時からお前と兄弟分になりたかったんだよ」と塚本に語る。

淡野組と関東連合会の手打ちの条件として、北竜会を横浜から追放ということになり当然それに反発した宮原は塚本に最後の電話を掛けたのち、襲撃を受け絶命する。

さらに浜中組も関東連合会から襲撃を受けるが、車の窓から組員たちが松明を掲げながら向かうところがなんか凄い迫力。

映画全体に言えるが殺陣やアクションなどというものでなく、単なる殺し。

ラスト、塚本が死んだ宮原や浜中組の仲間たちの敵討ちに行くシーン。

赤い鳥居と黒塗りの車、そして兄弟分だった椿(内田良平)の白いスーツと塚本の黒スーツとの対比が良い。

復讐を果たすことができたが、同じく組長を殺された組員の怒りの報復によって、塚本もその場で殺されてしまう。

主要人物がほぼ全員死んだところで映画は終わる。

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