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続・網走番外地(1965)

続・網走番外地(1965、東映、87分)
●監督:石井輝男
●出演:高倉健、瑳峨三智子、アイ・ジョージ、嵐寛寿郎、中谷一郎、田中邦衛、三原葉子、由利徹、大坂志郎、安部徹

『続』とは言いながら舞台は網走ではなく函館~青森。

モノクロで寒々しい映像であった前作とは異なり、ダイヤモンドから波のきらめきへ転調するタイトルバックで幕を開ける今作。

さらに前作は登場人物もほとんど男しかいなかったが、三原葉子率いるストリッパー集団がゾロゾロと、さらに嵯峨三智子扮する女スリ師まで登場し華やかな雰囲気。

規模は違えど”ドラスティックな変貌を遂げたシリーズ2作目”という意味では『酔拳2』や『エイリアン2』に並ぶだろう(ターミネーターも2でかなり変わったので、そう考えるとジェームズ・キャメロンがすごい)。

セクシーナイロンパンティを売る高倉健などコミカルな場面も多く普通に娯楽作として楽しめる。

それにしても『峠を渡る若い風』でもそんなシーンあったが、香具師が露店で下着を売るってのはその当時は割とアリなことだったのだろうか?それともナシだからこそのギャグになってるということなのかは謎だった。

物語のキーとなる、ダイヤモンドを隠した毬藻がどんどん人の手に渡っていきながらストーリーも進んでいく。

ラストシーンではダンプカーの荷台の土砂の上に毬藻が乗っかっているが、よく落ちないな!とさすがにこれにはツッコんだ。

三原葉子がストリップを踊る場面は照明により画面全体がカラフルになり、終盤のねぶた祭りの松明も併せて画作りが派手に工夫されている。

中盤で三原葉子が博奕をやるシーンはバランス考えるともう1,2分切ってもいいような気もしたが、しっかりサービスタイムとしての意義があることがわかり妙に納得。

そっからの嵐寛寿郎の見せ場に移るところが上手い。

女スリ師ユミ役の嵯峨三智子の「あたし、あんたに惚れちゃった」って言うシーンがかわいかった。

それにより、共に冤罪かけられただけで利害関係ないはずのユミが、橘を裏切れない理由付けになっているあたりのシナリオも抜かりない。

ただ、橘とユミのロマンス的雰囲気よりも、橘を追う殺し屋、吉本の「惚れた弱みだ」という台詞だとかやたら男同士の世界という雰囲気が充満している。

橘とユミが分かれる場面は夕焼けのきれいな空で、とても美しい。


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