私のお姉ちゃん
私のお姉ちゃんは就活生。
お姉ちゃんは文章を書くことが凄く苦手で、企業に提出するエントリーシートを書くのに苦戦していた。
私は比較的文章を書くことが好きなので、自分の文章の練習も兼ねて何度か添削をした。しかし、自分から添削して欲しいと言ってくれたことはほとんど無い。
お姉ちゃんは、なんでも自分で解決しようとする子だ。助けを求めてくれればいつだって手を差し伸べるのに、助けを求めてくることはない。
まだまだ就活は始まったばかりだが、
徐々にお姉ちゃんの神経がすり減っていることがわかった。
友だちは内定が決まっているのに自分は、と、夜中に泣き出すこともあった。
夜風にあたりたいと、お散歩に誘われた日があった。
それなのに私はそれを断ってしまった。
大学の〆切が近い課題があったのだ。
胸が苦しかった。
私も気持ちを言葉にすることが苦手だ。
文章にするには推敲することができるけれど、言葉にするにはすぐに口に出さなければならない。
添削をしている時、今の言い方はもしかしたら当たりが強かったかもしれないと思うことは多々あった。
それでもお姉ちゃんは、私に感謝してくれた。
お菓子やミルクティーを買ってくれた。
私は何も力になれていないと思っていたから、買ってきてくれたこと以上にその気持ちが嬉しかった。
お姉ちゃんは、私のお誕生日に毎年お手紙をくれる。
「ままやぱぱにそうだんできないことがあったらなんでも相談してね」
去年のお手紙に書いてあった1文だ。
これが姉妹なのかと、嬉しかった。涙が出た。
喧嘩の絶えない時期もあったが、歳を重ねるにつれて助け合う存在になった。
冷めているようなお姉ちゃんだけれど、お姉ちゃんもきっと私のことが大好きだ。
よく部屋に来ては、無言で座って携帯をいじるだけの時間がある。
辛いことがあったら、泣きながら私のところに来てくれる。
私が泣いている時は、話を聞いてくれる。
私は上手くお姉ちゃんを慰められないけれど、お姉ちゃんが大好きだ。
そんなお姉ちゃんに、ようやく内定が決まった。
すぐに可愛いお店でコースを予約して、内定おめでとうのプレートも出してもらった。
お姉ちゃんは勘が良いのでサプライズにはならなかったが、喜んでくれたのがとても嬉しかった。
昔のお姉ちゃんは、いじわるだった。
お姉ちゃんの悪態を、なすりつけられたこともある。
そんなとき私は
「お姉ちゃんなんか家族じゃない」
と、最低な言葉を発してしまった。
家族の意味も深く考えたことがない小学校低学年の私は、いつも強気で泣かないお姉ちゃんが声を荒らげて泣き始めたことに大変驚いたのをよく覚えている。
そのとき、私はお姉ちゃんと家族なのだ、
大切な存在なのだということを知った。
あの日何故あんなことを言ってしまったのだろうと、今でも後悔している。
お姉ちゃんは覚えているのだろうか。
色々あった18年間だったけれど、あのお姉ちゃんがついに社会に出るんだと思うと寂しい。
就職がちゃんと決まったら、またご飯に連れて行こうと思う。
お姉ちゃんが私のお姉ちゃんでよかった!
内定が決まったことが嬉しくて、書いてみた。
長いのに読んでくれてありがとうございました。
ばいばい
凜
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