子育てエッセイ : 白雪姫、ブレーメンの音楽隊、ハーメルンの笛吹き男、娘たちに評判の良くなかったグリム童話

僕は1989年に勤めていた会社の出張で欧州に初めて行った。その時、スイスのチューリッヒに行った後、土日だったので、スイス支社の人に勧められて、土日をドイツ南部のスイスとフランスの国境線上にあるシュヴァルツヴァルト(黒い森)という保養地ですごした。
なぜ黒い森と呼ばれているかというと、針葉樹の生い茂る森が遠くから見ると黒く見えるからだ。
また、この森のなかは日中でも陽射しが入らず真っ暗闇、そこをガイドさんの案内に従って懐中電灯をつけながら入って行く。所々に差し込む美しい木漏れ陽を見るためだ。
このシュヴァルツヴァルトはグリム童話のなかでも
有名なヘンゼルとグレーテルの所縁の地でもある。
ドイツは17世紀に大飢饉があり、貧しかった人たちは口減らしのため、子どもを森のなかに捨てなければならなかった。
その悲しい歴史をグリム兄弟がヘンゼルとグレーテルという童話にして遺している。
グリム童話はただの童話ではなく、ドイツの歴史上の出来事や事件等を童話の形をとってグリム兄弟が遺した物だ。

僕は子どもの頃、グリム童話が大好きだった。
ふたりの娘にもグリム童話を読んで聞かせたり、読ませたりした。
ところが、そのなかで、娘たちに評判の良くなかった童話が3つあった。
それを紹介します。

1、白雪姫
白雪姫はいくら純真無垢とはいえ、何回も騙されてしまうことに娘たちは嫌になってしまった。
もうひとつは、小人たちの学習能力の無さ。
白雪姫を1人だけにして全員で出かけてしまうという同じミスを3回もする。
娘たちは最後は嫌になってしまった。

2、ブレーメンの音楽隊
これは男の子と女の子の違いかもしれない。
僕は子どもの頃、ブレーメンの音楽隊は好きだった
ロバ、イヌ、ネコ、オンドリがブレーメンの音楽隊に入るため、ブレーメンの町を目指して旅をする。
旅の途中、泥棒の家を見つけ、みんなで協力して
泥棒たちを追い払い、泥棒たちの家で豊かに幸せに暮らして行くことになるのだが、僕は、ロバ、イヌ
ネコ、オンドリが力を合わせて泥棒たちを追い払う場面をワクワクして読んでいた。
ところが娘たちの見解は、
例え泥棒であっても、人の物をとって自分たちの物にしてしまうのは良くないと言うのだ。
娘たちは今でもブレーメンの音楽隊は好きではない

3、ハーメルンの笛吹き男
娘たちに評判が良くなかったのは、単純に怖い童話だからだ。
ハーメルンの笛吹き男はグリム童話のなかでも異質だと僕は思う。
それは歴史的事実をそのまま書いているような所があるからだ。
ハーメルンの町にある日1人の不思議な男がやって来る。その時ハーメルンの町の人たちは大量に発生したネズミに困っていた。
町の人たちはこの男に多額なお金を支払うことを約束しネズミを追い払ってもらうことにした。
男は笛を吹きネズミたちを集め追い払ってしまう。
ところが町の人たちはお金を払うのが惜しくなり、
この男にお金を払わなかった。
怒ったこの男は、真夜中に笛を吹き、町中の子どもたちを自分の所に来させ、そのまま子どもたちを連れて何処かに行ってしまう。
これは世界史上のミステリーの1つとも言われている実際に起こった事件を殆どそのまま書いている。
1284年、ハーメルンの町である日突然約130人の子どたちが姿を消した。失踪してしまったのだ
結局子どもたちの行方は分からなかった。
今でもこの事件の真相は解明されていない。

グリム童話も日本の昔話も、何らかの歴史的背景や事件等を盛り込んでいるケースが多い。
童話や昔話を研究するというのも楽しいかもしれないと思う。





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