エッセイ : 陸続きの国境のある国々 四方を海に囲まれた多くの日本人には分からないと思う感覚

先日雑誌を読んでいたら、国際社会で日本人に欠けているものは何かという記事を見かけた。
国際感覚、語学力、独創性等書かれていたが、僕が思う国際社会で日本人に1番欠けているのは、陸続きの国境という感覚だと思う。

日本という国は四方を海に囲まれた島国だ。
こういう国は世界では少数派、陸続きの国境のある国の方が圧倒的に多い。
陸続きの国境というのは僕は不気味に感じる。

僕は27歳の時にスイスのチューリッヒに出張で行った。そしてチューリッヒからドイツまでスイス支社の人が運転する車で行った。
途中に国境があった。国境と言ってもその道路を遮る開閉式のゲートがあるだけだった。
そこで一旦車から降り、パスポートコントロールを通り、スイスフランをドイツマルクに両替し、車に乗るとゲートが開き通過した。
国境と言ってもこれだけなのだ。

新婚旅行でスペインに行った時も同じだった。
アンダルシア地方に行くため、僕と奥さんはポルトガルのリスボンからバスに乗って向かった。
ポルトガルとスペインの国境も殆ど同じだった。

陸続きに国境があると、ある日突然隣国が国境を超えて攻め込んで来てもおかしくない。
実際、朝鮮戦争は、ある日突然北朝鮮が戦車350台で国境を超えて韓国に攻め込んでだことから始まった。何の戦争の準備をしていなかった韓国は最初かなりの苦戦を強いられた。

湾岸戦争後、イラクの報復を恐れたサウジアラビアはイラクとの国境線上にアメリカ軍に駐留してもらった。

ウクライナ問題も同じだ。当初ロシアとの国境線上にロシア軍が集結し始めた時のウクライナの人たちの恐怖は我々日本人の想像を絶するものだったと思う。

つまり、世界は恐怖と緊張で成り立っていることになる。四方を海に囲まれた島国に住んでいると、
そのことが感覚的にも分からない。

僕は若い人たちに、1度でいいから海外に行って、
陸続きの国境を見て欲しいと思う。





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