オリジナル小説「僕の想い重い」#Final episode

ガサツに包装された小さい箱の包装紙。
まさひkooが自ら包装したのだろうか。
そのバックボーンが気になりつつも、
静かに開封していく。
そこから出てきたのは、
紀州産高級たわしだった。
僕の中の時は止まった。
だがすぐにそのプレゼンツを渡した
理由を理解するのに時間はかからなかった。
「自分を磨け」と言いたいのだろう。
呆れるほどに笑った。これは一本取られた。
僕が知らないうちにまさひkooが
ここまでのロマンチストになってたとは
時が経つのは早いものだ。僕が部屋の隅で笑っていると、遠くから「ゴトンッ」の音共に
「ギャー!」とまさひkooの祖母マキコの声が部屋中に響き渡った。どうやら僕のプレゼンツを足に落としたらしい。何が入っているのかと
皆が興味を示すのも無理はない。
おそらくここにあるプレゼンツの中で
一番重いものを選んだからだ。
「こんなに重いなんて、何が入ってるのかしらお頭♪」とマキコは血だらけの足を気にすることもなく、くだらない駄洒落を言った。
誰も笑わなかった。
マキコは僕からのプレゼンツを開封した。
中から出てきたのは漬物石だ。
シンとした部屋の空気は少し重く感じたが
皆はすぐにプレゼンツの意味に気づいたらしい
漬物石なしでは漬物は美味しく作れない
つまり、漬物を作る上で漬物石は
マストであるということだ。
僕らにとってマキコは
なくてはならない存在なのだ。
「僕らの出会いは奇石(跡)だな」シゲルニーニーのいつものくだない駄洒落をみんなで
笑った。この小さな街に笑い声が響き渡る
窓から吹くそよ風とともに春の訪れを感じた。
マキコ109歳の誕生日おめでとう。
-END-

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