採用面接は人柄重視です
お陰様で無事に経理担当の社員が入社致しまして、今では現任の経理担当者の指導のもとで研修・引き継ぎをしており、ひと安心です。
現任の経理担当者からのOJT報告書によりますと
経理の実務経験者という事もあり、また、本人の業務に対する姿勢も意欲的で積極的に仕事を覚えて行こうと努力をしているとの事です。
正直なところ、50歳を超えているので少々不安もありましたが
穏健で周囲との協調性も高く、職場の雰囲気も良好とのことで、安心しました。
実際うちの会社の内勤は40〜60代がメインなので同じくらいの年代の方が合うのかもしれません。
そういう背景もあり、40代・50代を中心に面接を行いました。
しかし改めて思いましたが、社員1人を採用するのにこんなにも膨大な時間とコストが掛かるんだなあ、
人ひとり雇うのにこんなにも苦労するんだなあ、と。
求職者側の苦悩は頻繁にクローズアップされていると思いますが
採用側の苦悩は殆ど取り上げられる事はないんですよね(苦笑)
なので今回はぼくの忌憚ない感想を垂れ流そうと思います(笑)
この度の経理社員募集には、書類選考も含めますと本当に多くの方々からご応募を頂きまして、心から感謝しております。
数多くある求人の中から弊社の求人を選んで頂けたことは本当に嬉しいです。
ですから、弊社でぼく達と一緒に働きたいと望まれる人々のご厚意には等しく応えたいと思っております。
ですが諸事情を鑑みた結果、採用人数を1名とさせて頂いている以上、恐縮ではありますが、応募して頂いた皆様の中から選考させて頂くこととなりました。
その結果、応募頂いた方々の多くには御期待に添えない結果となってしまったことをこの場にてお詫び申し上げます。
選考の結果ですが、採用内定見送りとなった方には郵送にて通知致しましたが(内定者には電話で連絡)
見送りとした方の中には納得が行かず、電話で不採用の理由を問い合わせて来られた方
あるいは不満をぶつけて来られたり、罵倒をされたり
色々ありましたが、全て真摯に受け止めさせて頂きたいと思います。
時に理不尽な罵倒などで本気で落ち込んでしまった時も、実はありました。
その事だけじゃなく、他の案件における問題の数々もあったりして、頭がパンクしそうになっていたところにその電話があった事で、かなりネガティブになってしまったんです。
ですがそんなある日
「おいトラ夫、どうした?」
と課長から声をかけられまして
「不採用にした奴から来た電話のことか?」
そう言うと課長は例の「お茶飲み部屋」にぼくを誘いました。
※「お茶飲み部屋」に関しては以下の記事を参照下さいね。
その部屋に入るのは、その時が初めてでした。
書庫にはずっと古い時代からの警備日報、昔からの社内報を綴じたファイルなど、この会社の歴史の数々が置かれていました。
どうやらこの部屋は、社歴の長い社員達が時々、昔の同僚や先輩達の思い出を偲ぶところのようでした。
「まあ、そこに座れ」
課長はそういうと、流し台に行きコーヒーを淹れてくれました。
そのコーヒーは、課長が行きつけの店で買ってくるお気に入りの豆だそうで、とても美味しかったです。
「トラ夫、この部屋なんだけどな、古い資料が沢山あるだろ。
今はもう退職している社員達が残した物もあれば、今はベテランだけど当時はまだ新人だった時の物もある。この会社に関わって来た人達の大切な記録を保管している、宝物殿のような部屋なんだ。
そして今現在この会社にいる社員達の記録も。
これからもっと増えていくだろうな。もちろん君もそのひとりだ。
会社っていうのはさ、そこにいる人間たちが作り上げていくものなんだよ。
どんな人達がいて、どんな風に思いながら毎日職場で過ごしているのか、全ては人間同士の繋がりで成り立つものなんだよ。この部屋は、そういう部屋なんだ」
そうだったのか…
「なあトラ夫、オレ達は人事なんだ。
人に深く関わる仕事ってのはな、自分ではコントロールできない部分が多くてさ、現実は周りが思ってる以上に泥臭い所も多いんだよな。でもそれだけにやりがいもあると思うんだよな。だからな、今はお前にできる事でベストを尽くせばいいんだ。無駄に気負う必要はない」
ぼくは課長の事をかなり誤解していました。
それに、粗雑な生き方をしていた自分自身にも気づきました。
…もっと人間力を養って行かないとな。
「これからも疲れた時は気持ちを切り替えにここに来たらいい。お前にもこの鍵を渡しておく」
そしてぼくもこの部屋の鍵を待つことになりました。
そして、それからも沢山の方々からの応募の問い合わせに応じていく日々が続きました。
それまでは
・実務経験の有無
・面接時の身なりや態度
・経歴
そこだけを事務的に見て、淡々と取捨選択をするだけでした。
応募書類からその人の思いを汲み取るところまではできておらず
課長から
「おい、これ書類選考で落とすのか?ちょっと話を聞いてみようとは思わないか?」
と言われても
「ですがこの方は採用水準に満たないしどうかと思いますが…」
と渋ることもありました。
逆にぼくが
「この人は経歴もいいと思いますがどうでしょうか?」
と伺いを立てても
「いや、見送っていいと思う」
という事もあり、なんでだよ?という事もあったりしたのですが、
今なら課長がなぜそう思うのか、少しわかったと思います。
課長は最終的にその人の人間性を強く見ているんだと思います。